全英女子OPで首位に1打差と迫る激闘を演じて3位の渋野日向子は何を語りなぜ涙したのか…「忘れていたものを思い出せた」
女子ゴルフの海外メジャー最終戦、AIG全英女子オープンの最終日が7日に英国スコットランド・ガレーンのミュアフィールド(6680ヤード、パー71)で行われ、2位タイでスタートした渋野日向子(23、サントリー)がイーブンパー71をマーク。通算10アンダーのアシュリー・ブハイ(33、南アフリカ)とチョン・インジ(27、韓国)にわずか1打届かない3位でフィニッシュした。プレーオフに突入した優勝争いは4ホール目でブハイが制し、悲願のアメリカ女子ツアー初勝利を手にした。
悔やまれる14番のダブルボギー
こらえていた涙がこぼれ落ちた。ホールアウト直後に応じたフラッシュインタビュー。1イーグル、3バーディー、3ボギー、1ダブルボギーのイーブンパー71で回り、わずか1打届かずにプレーオフへ進めなかった最終日を渋野が振り返った第一声だった。
「やり切ったかな、とは思うんですけど……やっぱりすごく悔しいです」 嗚咽で途切れそうな声を必死に紡いだ。ただ、悔しさだけが渋野の涙腺を決壊させたわけではなかった。自分にまったく自信が持てないまま臨んだ今大会。予選を通過し、最終日を最終組で回れた嬉しさが、何よりも安堵感が込みあげてきた。
「最近の私のゴルフの調子や、自分が考えていることとはまったく違うゴルフをこの4日間できましたし、この結果に対してはすごく成長したと思いたい。悔いが残る場面もありましたけど、この順位で終えられたことに関しては嬉しさもあります」
10メートル近い強風が吹き荒れた最終日は、文字通り我慢比べとなった。決勝ラウンドに進んだ65人のうち、アンダーパーで回ったのはわずか13人。安定したプレーで首位を独走していたブハイでさえ、4オーバーとスコアを崩した。
もっとも、渋野自身はブハイと5打差の2位タイでスタートした最終日を「スコアの差がかなりあったので、そこまで緊張感はなかったんですけど……」と振り返りながら、自らを戒めるように、こんな言葉をつけ加えることも忘れなかった。
「どうしても守りに入ってしまうところもあって、ロングパットを3パットしてしまったのが今日は3回もあった。すごくもったいないプレーだったと思っています」
最も悔やまれるのが14番(パー4、425ヤード)となる。
ティショットを左ポットバンカーに打ち込み、前へ出すだけだった2打目をへて3オンを狙ったが、ピンまで約10メートルの距離を残してしまう。パーパットを打ち切れずに1.5メートルあまりを残し、ボギーパットもカップの右に蹴られてしまった。
4日間を通じて初めて、そして唯一となる痛恨のダブルボギー。続く15番(パー4、414ヤード)でブハイがトリプルボギーを叩き、ひと組前のチョン・インジを含めた優勝争いが一気に混沌としてきただけに、スコアを通算8アンダーに落とした14番のトラブルの連鎖が、結果的に最後まで響いてしまった。
それでも、いまにも折れそうな心を渋野は必死につなぎ止めた。