全英女子OPで首位に1打差と迫る激闘を演じて3位の渋野日向子は何を語りなぜ涙したのか…「忘れていたものを思い出せた」
単独3位で終えた大会を通して手にした収穫を、渋野はこう語っている。
「まだまだ波はありますけど、でも自分の心の持ちようによっては本当にゴルフの内容というものが変わると感じた4日間だったので、いろいろ学ぶことができました」
ドライバーもアイアンもパットもすべてがダメという絶望的な状況を、必死にメンタルを立て直しながら克服できたと手応えをつかんだからこそ、思わず瞳からこぼれた涙だった。ただ、いつまでも涙腺を潤ませている渋野ではない。
すべての取材を終えた渋野は、18番ホールのグリーンへ再び足を運んでいる。最終日の最終組をともに回った、ブハイが挑むプレーオフを応援するためだ。 「アシュリーさん(ブハイ)と3年ぶりに一緒に回れた最終組で、お互いに『ナイス』と言い合いながら、すごくいい雰囲気で回れたので」 いまも忘れない3年前の全英女子オープン。3日目と最終日をともに回ったブハイは、渋野がセンセーショナルな初優勝を決めた瞬間にグリーン上で両手を突き上げ、まるで自分のことのように喜びながら渋野を抱きしめてくれた。
18番だけを回るプレーオフは決着がつかない緊張感に支配されたまま、夕闇が迫るなかで迎えた4ホール目でブハイに軍配が上がった。アメリカ女子ツアーで一度も勝てなかった33歳の苦労人が、悲願の初優勝をメジャーで手にする劇的な幕切れ。見守っていた渋野は歓喜の涙を流すブハイを、笑顔を輝かせながら祝福した。
「この4日間、本当にいろいろなことを学べましたし、何か忘れていたものを思い出せたという部分もありますし、また新しいことを覚えられたのもあります。難しくも素敵なこのコースで初心に戻れたなかで、攻めるプレーと耐えるプレーを、メリハリをつけてできました。結果は悔しいものになりましたけど、また切り替えていろいろと自信を持ってプレーできるように、もっと笑顔を届けられるように頑張っていきます」
今シーズンの海外メジャーの最終日を最終組で回れた自分を、渋野は「奇跡だった」と謙遜しながら振り返った。確かにいま現在では奇跡に近い確率なのかもしれない。それを必然にしていく手応えを、最後は弾けるような笑顔とともにつかんだミュアフィールドは、渋野のゴルフ人生で決して忘れられない思い出のコースとして刻まれる。