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男性コーチの暴力問題で揺れる秀岳館高校サッカー部の段原一詞監督に対する処分問題が宙に浮いている
男性コーチの暴力問題で揺れる秀岳館高校サッカー部の段原一詞監督に対する処分問題が宙に浮いている

内部文書も流出…秀岳館サッカー部の問題は段原監督の退職、”暴力コーチ”の懲戒免職で幕引きにしていいのか…難しくなった真相解明

 信頼が失われたのは段原監督も同じだ。むしろ全国放送されたテレビへの生出演でも保身を優先させるために嘘をつき、外部と遮断されたミーティングの場では自身を被害者と位置づけた上で部員へ脅迫まがいの言葉を浴びせ、顔と実名をさらした謝罪動画の撮影および公開を部員に強要した一連の行為は、コーチ以上に悪質だった。

 段原監督自身、謝罪動画がサッカー部の公式SNSへ投稿されるまでの経緯と、ミーティングにおける発言の内容などに関して、熊本県警八代署から任意の事情聴取を受けている。刑事処分の結果が出るまで退職願は預かりとすべきだったし、もっと言えばTBSで報じられた暴行疑惑に対しても学校側として調査すべきだった。

 しかし、受理された結果として、サッカー部内で生じていた数々の問題と、その原因が未解明のまま幕引きになってしまった感はどう考えても否めない。 なぜ問題のコーチは日常的に暴力を振るっていたのか。なぜ部員間でも2年あまりの間に、少なくとも13件の暴力案件があったのか。なぜ暴力の常態化を段原監督が記者会見で否定し、さらに「見たこともない」と嘘をついたのか。

 今後の再発を防止していくためには、そのすべての背景や原因を検証しなければならないが、段原監督が退職してしまった以上、それも叶わずすべてが中途半端な状態での幕引きに終わる可能性がある。その展開が残念でならない。

 何よりも段原監督の依願退職は、一見潔く責任を取ったように見えるが、実のところ懲戒免職されたコーチに責任のすべてを押しつけて自身への責任追求から上手く逃れているとも言える。ただこれで終わりにしては何の解決にもならない。

 今後は、段原監督のような人物にサッカー部を通して大きな力を与え、今年4月からは教頭と同格の校長補佐に昇格させるなど教育者としても重用した学校側の管理責任、すなわち同校のガバナンスやコンプライアンスの問題も問わねばならないだろう。 (文責・藤江直人/スポーツライター)

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