動いた”番長”と鎮めた矢野監督…なぜ横浜DeNAは阪神に逆転勝利できたのか…徹底された打撃戦略と一体感の明暗
横浜DeNAと阪神の3回戦が19日、横浜スタジアムで行われ、横浜DeNAが4点差を逆転して5-4で勝利した。前回の対戦で完封された西勇輝から5点をもぎとってリベンジを果たした。一方の阪神は、またしてもリードを守りきれずに連敗しビジターの連敗は「10」となった。両チームの明暗を分けたものは何だったのか。
藤田と田中健の苦労人2人がヒーロー
苦労人の2人にハマスタのスポットライトが当たった。4回に代打で同点タイムリーを放った39歳の藤田一也と、2番の佐藤輝明から始まる5回の1イニングを守りきり、その裏の勝ち越し劇を呼び込んで勝利投手となった32歳の左腕、田中健二朗である。
楽天を戦力外となり10年ぶりに古巣に復帰した藤田は、新型コロナによるメンバーの大量離脱により1軍昇格してきた。だが、17日のヤクルト戦では4-4の同点で迎えた8回一死満塁のチャンスに併殺打に終わり、その悔しさを胸に秘めていた。
「去年の10、11月のことを思えば1軍で結果が出なくても悔しい思いができるのも幸せなこと。あのとき引退を決意していたら悔しい思いもできていない。そう気持ちを切り替えて、どんな形でもいいから打ちたいと打席に立った」としみじみと語る。
田中はトミー・ジョン手術の想像を絶するリハビリを乗り越えて、2018年7月26日の中日戦以来の白星。「覚えていない」と言う田中も「みんなに感謝したい」と、心からの気持ちをファンに伝えた。
ドラマのあるチームは強い。
いきなり4点のビハインドを背負った2回に反撃が始まった。ソトが四球を選び、宮崎敏郎、大和の連打で無死満塁とすると、田中俊太が食らいついたワンバウンドの打球は、ジャンプした西のグラブを弾き、中野がカバーしきれないタイムリー内野安打となる。ハマスタの雰囲気を一変させた嵐の3連打。そのすべてが3球以内に仕留めたもの。超積極打法でありながら誰一人として西の投球術の罠にかからなかった。