勝負所で”硬直化”する矢野采配…なぜ阪神は9回“悪夢の逆転負け“で4位に転落したか…勝率5割以下決定でCS出場大ピンチ
スコアボードに刻むことのできなかった「あと1点」がツケとなって響いた。先頭打者を6度も出しながら拙攻が続いたのである。
逆転を許した9回裏。途中出場の梅野のセカンドとライトの間にふらっと上がった打球を横浜DeNAの二塁手の牧が追いつきながらも目測を誤って捕れないというエラー。梅野は二塁までいき、無死二塁の同点機を演出したが、続く途中出場の植田がスリーバントを試みて失敗。三塁へ送ることができなかった。タイムリーで還すしかなくなったが、中野が投ゴロ、そして糸原は三球三振でゲームセットである。
目立ったのが、バッティングカウントから打ちにいき、進塁打にさえできずに凡退したケース。上茶谷の立ち上がりを攻め、一死二、三塁のチャンスに2-0から打って出た4番の大山は、内野ゴロで走者を生還させるという最低限の仕事をしたが、3回には、無死一塁で中野が3-1から打ちにいき4-6-3のダブルプレー。6回には代わった入江から先頭の糸原が二塁打で出塁したが、ここで近本が初球を狙いながらも、ショートゴロに倒れて走者を三塁に進めることもできなかった。
巨人、楽天、西武などで参謀を務め、現在、新潟アルビレックスBC監督で阪神OBでもある橋上秀樹氏は、「今季の阪神打線の得点不足の原因を見ていると、やはりチームの戦略として、絞るボールの徹底がなく、各打者の読みの甘さと、それを1球で仕留める技術が足りないという点が目に付く。阪神はストレートに力のある投手に弱いという印象もある」と、評していたが、“振り負ける”という個の能力に加え、それを補うチーム戦略の徹底も不十分だった。
3位で並んでいた広島が延長にもつれこんだ末、中日に敗れたが、ゲーム差「ゼロ」だった5位の巨人がヤクルトに勝ったため、順位が入れ替わり、4位に転落した。
残りは5試合で、広島が2試合、ヤクルトが3試合。ひとつも負けられないが、日程を書き出せば、21日(甲子園)、23日(マツダ)が広島戦、27、28日(神宮)、10月2日(甲子園)がヤクルト戦で、3位争いをしている広島との2試合が重要になるだろう。
新型コロナウィルスの大量感染での試合中止が続いた巨人が、阪神、広島よりも2試合多く残していて、しかも上にいるため数字上では有利となるが、橋上氏は、「どのチームももう総力戦となるが、私は阪神が最終的には3位に入ってくると思う」という見解を持つ。
関西メディアの代表取材による報道によると矢野監督は、「もちろん、この負けは痛いし、悔しいし、流れ的にも大きな1敗になるかも知れないけど、何か決まったわけでもない。試合も残っているので、その中で逆転できるチャンスがあると信じて戦っていくしかない。その思いをぶつけていきます」と、再逆転を誓ったという。
(文責・RONSPO、スポーツタイムズ通信社)