原巨人はどうすればセ・パ交流戦を勝ち抜けるか…大物OBが緊急提言…「出でよ!個性ある選手」
「若い投手を積極的に使って序盤戦は結果が出ていたが、巨人の投手陣がダメな理由は、どの投手も球威がないということ。高橋優がその典型だが、菅野にしても今年はそう。戸郷も150キロは出るが100球前後で球威も制球力も落ちる。では、うまいピッチングができるのか?と言えばコースを突くような駆け引きは菅野以外の投手はできていない。今季は投高打低の傾向にあるが、打者は打ち込み量と技術の向上で変化球には対応してくる。やはり困るのは差し込まれるようなストレートなのだ。球威などすぐにつけられるものではない。キャンプからどんな練習をしてきたのか、コーチは何を教えていたのか、という部分を今こそ見直すべきなのだろう」と広岡氏は訴えた。
今季のパで打力が目立つチームは、首位の楽天と2位のソフトバンクだ。楽天はノンテンダーで加入した西川が起爆剤となって打線が活気づき、浅村が28打点(リーグ2位)、島内が21打点(同7位)と中軸が安定している。
またソフトバンクのチーム打率.264、チーム得点172は、いずれもリーグトップ。打率.348と絶好調の今宮を筆頭に、グラシアル、中村晃が打撃10傑に顔を出して、柳田も7本塁打(リーグ2位)、26打点(リーグ3位)とクリーンナップの役目を果たしている。
そのソフトバンクは巨人にとって“天敵“である。
2019、2020年の日本シリーズで一矢も報いることができずに8連敗。昨年の交流戦の第3戦にようやく勝利してオープン戦を含めた連敗を14で止めたが、交流戦の対戦成績は24勝38敗。今季は31日からの3カード目に東京ドームでの対戦が組まれており、ローテー通りでいけば、今日24日のオリックス戦に先発するメルセデス、山崎伊織、エース菅野の3人が登板予定だ。
そして巨人のもうひとつの課題が得点力不足である。本塁打数50はリーグトップで、得点189も2位につけているが、坂本の離脱が響き、チーム打率.246は3位タイ。課題の1、2番には、この10試合、丸―ウォーカーを起用しているが、機能しているとは言い難い。今季のパは、日ハム以外の5球団の防御率がいずれも2点台。巨人打線はペナントレース以上に点を取ることに苦労しそうだ。そして6月3日から始まるロッテとの3連戦では、ローテー通りでいけば、その初戦に“完全男”の佐々木朗希と対戦予定となっている。
広岡氏は、「相手バッテリーに嫌がられる個性のある選手がいない」ことを打線の問題点に挙げる。 「松原や若林といった期待の若手はどこへ行ったのか。巨人にはバットを短く持ち、とことんボールに食らいつくような嫌なバッターが少ない。個性がないのだ。広島にはチャンスに強い坂倉が出てきたし、ヤクルトの塩見、そしてベテラン青木には嫌らしさがある。古い話で恐縮だが、V9時代の巨人には、ON以外に柴田、土井、高田といった嫌らしい打者が揃っていて打線が線になった。こういう打者は指導で育てることができる。交流戦を勝ち抜くためには、そういう個性のある若手が出てこなければならないだろう」
坂本の代役に起用している中山は、19日の広島戦でプロ初打点が決勝点となりヒーローとなったが、その後の阪神3連戦ではさっぱりふるわずブレーキとなった。この18試合で大ブレイクするいわゆる“交流戦男”が出てくることが、巨人が交流戦を制する必須条件。
巨人の初っ端カードは昨季のパ覇者オリックス。昨季は交流戦でも優勝して勢いをつけた。今季はここまで借金「2」と迷走しているが、首位の楽天に3連勝して3位に浮上してきた。まずは先陣を切ってくる防御率0.82の山岡をどう攻略するか。巨人にとって天国にも地獄にも変わる交流戦がスタートする。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)