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ライトフライ級のWBOアジアパシフィック、OPBF東洋太平洋、日本の”3冠王者”である岩田翔吉。「最も世界に近い男」だ(写真・山口裕朗)
ライトフライ級のWBOアジアパシフィック、OPBF東洋太平洋、日本の”3冠王者”である岩田翔吉。「最も世界に近い男」だ(写真・山口裕朗)

名門帝拳の「最も世界に近い男」“3冠王者“岩田翔吉は”ネクスト井上尚弥”級の逸材か…WBO世界Lフライ級王者に照準!

ゴンサレスがサウスポーであるところが難点だが「アマチュア時代にも一度くらいしか負けたことがない」と岩田に苦手意識はなく、コンビを組む粟生トレーナーがサウスポーであることもあり「レクチャーしてもらえる」と対策に不安がないことも付け加えた。

 2019年の日本での凱旋デビュー戦の相手は、この日、セミファイナルでTKO勝利したサウスポーの亀山大輝(25、ワタナベ)で岩田はダウンを奪うなどして判定で完勝している。3つのベルトのうち「一番重い」WBOアジアパシフィックのベルトだけを持って囲み取材に臨んだのも、どこか暗示めいていた。  あとは、帝拳グループの“総師”本田明彦会長が、この堀川戦の内容を見てGOサインを出すかどうかだけだろう。  ただ、この日の試合では課題を露呈した。堀川にプレッシャーをかけられた際に、サークリングをしたのはいいが、攻撃への切り替えがうまくいかなかった。

 粟生トレーナーも、こう指摘した。

「欲しいところで欲しいパンチが出せない。相手がバランスを崩して立て直す前に一発が欲しかったが、いけなかった。足を使い、広いところで相手が追いついていなかったのに、そこにもパンと欲しかった。それが堀川選手のうまさなのか、岩田の経験の無さなのかはわからないが、そこがもう一歩で倒しきれなかったところ」

 岩田の才能を認めているからこその高い次元での要求である。

 岩田も「映像を見直して練習したい」と言う。

 2020年から岩田を担当している粟生トレーナーは「私が見て5戦目。少しずつ成長している。お見合いからの一発狙いもない。左ジャブ、サイドに動き、上下にふったりといろんなパンチを出せてはいる」と成長ぶりを評価している。

 新型コロナ禍もあり、若干、遠回りはしたが、岩田は、この階級でのベルトを統一する可能性のある“ネクスト井上尚弥“クラスの逸材であることに疑いはない。だが、まだ発展途上。今後、そのノビシロをどこまで伸ばすかが重要になる。

 過去に多くの名王者を輩出してきた名門帝拳は、4月に村田が”ミドル級最強”ゲンナジー・ゴロフキン(40、カザフスタン)に敗れ、6月にはIBF世界スーパーフェザー級王者の尾川堅一(34)が英国で防衛に失敗、世界王者が不在となっている。年内に世界戦が実現して新しい世界王者が誕生するのか。”世界に最も近い男”岩田の“今後“に注目したい。

(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)

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