大どんでん返しは起きるのか?V王手の横浜F・マリノスが最下位ジュビロに負け川崎フロンターレ勝利で勝ち点差「2」に急接近
11日前は失意のどん底へ突き落とされていた。
敵地・札幌厚別公園競技場に乗り込んだ10月1日の北海道コンサドーレ札幌戦。後半24分に逆転するも同38分に同点とされ、12分が表示されたアディショナルタイムの最後に再逆転ゴールを喫した。名古屋グランパスに4-0で快勝した首位マリノスとの勝ち点差は「8」に広がった。
2000シーズンの鹿島に次ぐ、史上2チーム目のリーグ戦3連覇を目指してきた今シーズン。札幌に喫した黒星とともにマリノスの背中が遠ざかり、心が折れかねない状況に追い込まれた川崎を支えたのは、谷口が明かした「勝ち続ければ何かを起こせる」の一念だった。
マリノスが勝ち、川崎が引き分けか負けならば優勝争いの決着がついた8日。残留を争っている清水エスパルスをホームに迎えた一戦で一時は逆転されるも、後半31分、33分の怒涛の連続ゴールで再逆転し、ガンバに敗れたマリノスの背中を再び視界にとらえた。
中3日で再び同じ結果が繰り返され、わずかな期間で勝ち点差を「2」にまで縮めた川崎の鬼木達監督(48)は、図らずも谷口と同じニュアンスの決意を口にしている。
「まだ2位だし、何も変わっていないけど、自分たちがやるべきことをやり続ければ何かが起こるかもしれない。それを信じてやり続けることに尽きると思っている」
優勝争いが両チームに絞られている状況で、次節はマリノスが浦和レッズを、川崎が5連勝中のヴィッセル神戸をともにホームで迎え撃つ。マリノスが勝ち、川崎が引き分け以下で決着がつく構図は変わらないが、メンタル面に限れば追う側が優位に立つ関係は歴史が証明している。
2017シーズンは連覇を狙う鹿島が、2位の川崎に勝ち点で4ポイント差をつけて残り2節を迎えた。柏レイソルか磐田のどちらかに勝てば、川崎の試合結果に関係なく美酒に酔えた状況にありながら、まさかの連続スコアレスドローに終わってしまう。浦和と大宮アルディージャに連勝し、鹿島と勝ち点72で並んだ川崎が得失点差で上回り、悲願の初優勝をもぎ取った。
当時は就任1年目だった鬼木監督だけでなく、キャプテンだったFW小林悠が、移籍1年目だったFW家長昭博が、そしてディフェンスリーダーをすでに拝命していた谷口が得た勝者のメンタリティーが、2018、2020、そして昨シーズンの戴冠につながった。