“天敵“ロメロを攻略した中日の「立浪イズム」とは何か…3番石川バント指令と昨季盗塁ゼロの阿部を使った初球エンドラン
中日が3日、横浜スタジアムで行われた横浜DeNA戦に7-3で逆転勝利した。過去5戦4敗と相性が悪く、3月29日には8回無失点に抑えられていた”天敵”のフェルナンド・ロメロ(27)を攻略したのは、立浪和義監督(52)の采配とチームに浸透しつつある“立浪イズム“。3番に置いた石川昂弥(20)にバントを命じ、阿部寿樹(32)を走らせ、岡林勇希(20)がセーフティースクイズを決めるなど機動力を駆使して横浜DeNAのミスを誘い混乱させた。6カードぶりに3連戦の初戦を取った立浪竜が5月攻勢へ狼煙をあげた。
鵜飼、岡林、石川の”ヤングトリオ”が役割果たす
やられたらやり返す。ちょっと前に流行したテレビドラマのフレーズではない。それがPL学園から故・星野仙一氏が監督を務めた中日で野球の鉄則を叩きこまれた”立浪イズム”なのだ。
昨年は4戦3敗、防御率0.66とカモにされ、3月29日にも8回3安打無得点と抑え込まれていた”天敵”のロメロを見事に攻略した。
「ずっと去年からやられているというデータもあった。球に力があるし、右にはツーシームもあるしね。非常に嫌なんですけどね。ひとつ攻略できたかなと思います。ミスに助けられながらね」
立浪監督の表情にも安堵感が浮かぶ。
先発の小笠原が2回に横浜DeNAのクリーンナップを警戒しすぎて、4番の牧を歩かせソトにはカウント負けして先制タイムリーを許すなど2失点したが直後の3回にルーキーの鵜飼が反撃の口火を切った。トップバッターに起用されて3試合目の鵜飼がその役割を果たす。簡単にファーストストライクには手を出さずに実に粘って8球。四球を選んだのである。
三浦監督が「あの先頭打者の四球で流れに乗れなかった」と悔やんだ価値ある“ボディブロー“のような四球。2番の岡林がヒットで続くと、立浪監督は3番に抜擢している石川にバントを命じた。
「ビシエド以外は全員今年はバントがあると言っているんで。当然ですよ。まだまだ2割4分、5分のバッターなんで」
この時点で石川の打率は.242である。 立浪監督の執念采配が横浜DeNAのミスを誘発したのか。投手前に転がった石川のバントを躊躇せずに三塁へ投げたロメロの送球がベースに入った伊藤の逆をつく形でファウルグラウンド側にそれたのだ。伊藤も対応することができず鵜飼が生還した。
もしロメロの送球がストライクならアウト、セーフは微妙なタイミング。 「仮にいいボールを投げてもセーフやったと思う」と判断していた立浪監督は、
「バントというのはすごく大事。点が取れない相手だから、何としても取りにいかないといけない」と、3番打者にバントを指令した理由をつけ加えた。
続くビシエドのタイムリーで同点に追いつくと高橋周のレフトへの犠飛で勝ち越し、この回、一気に逆転に成功した。フェアかファウルかラインギリギリの飛球に佐野がスライディングキャッチを試みたものだった。高橋周はツーシームのコースが、やや真ん中寄りに来たところを狙い打った。
立浪監督が求めていた「内角に手を出しているとチャンスは少ない。見極めが大事」のロメロ攻略法を実戦したのである。