広島・秋山翔吾の初打点&マルチ安打デビューをどう評価すべきか…「打率3割。Aクラス入り使者となれる」と元WBCコーチ
米大リーグのパドレス傘下の3Aから広島に移籍した秋山翔吾(34)が8日、バンテリンドームで行われた中日戦に「3番・レフト」で先発し、タイムリーを含むマルチ安打デビューを飾った。先発の大瀬良大地(31)が3回で7失点KOされ、試合には2-9で敗れたが、巨人、阪神、横浜DeNAとのAクラス争いに生き残るための大きな戦力となることをアピールした。
技ありのセンター返しで移籍初打点
そのバットは錆びついてなんかいなかった。 0-3のスコアで迎えた3回二死一、二塁のチャンス。まだ見慣れない背番号「9」の赤いユニホームを着た秋山が左打席に向かうとレフトスタンドのカープファンから大きな拍手が起きた。日本での打席は、西武時代の2019年10月13日のクラマックスシリーズ・ファイナルステージ・ソフトバンク戦以来、実に999日ぶりである。
マウンドには松葉。メジャーに移籍する前の2019年にも交流戦で対戦して3打数1安打、まだ松葉がオリックスにいた2018年には一発をお見舞いしている相性のいい左腕である。
外角高めのボールのストレート、同じく外角のストライクのカーブを続けて見逃してカウント1-1。松葉が3球目に低めに投じた141キロのストレートを開きながらも体を残して、絶妙のバットコントロールで、センター返しを試みると打球はゴロで二遊間を抜けていった。ジャストミートしたわけではないが、バットを振り切った。2015年にイチローを抜く年間最多安打の日本記録となる216安打を放ち、首位打者タイトル1度、最多安打タイトルを4度獲得した職人技は健在だった。
スポーツ各紙の報道によると、試合後、本人は「打たされている感じ。内容はまだ全然」と反省しきりだったそうだが、その状況でベンチが欲しいところでタイムリーを決めて見せるのだからプロ中のプロ。マクブルームのライト前タイムリーが続き、カープは二死からの4連打で2点を奪い1点差に迫った。
2-7と点差を広げられた6回には先頭打者として、初球の甘く入ってきたカーブを捉えてライト前ヒット。いきなりマルチ安打デビューである。
1回の初打席こそ緊張からか簡単に2球を見逃したあと、チェンジアップにスイングアウト。8回には根尾との注目の対決がありインハイの152キロのストレートにやや差し込まれ一塁ゴロに終わったが、タイミングは悪くなかった。
結果を出せず苦しんだメジャーでは、右足を上げるステップを小さくするなどの工夫をしていたが、この日は、西武時代に少し戻したかのようなタイミングの取り方だった。メジャー帰りの打者が、逆に日本式野球への再適応に苦労するケースもあるのだが、ファームで4試合”試運転”しただけで秋山は、もう感覚を取り戻しているように見えた。