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元K-1王者の武居由樹(右)の右ストレートが東洋太平洋王者の顔面を捉える(写真・山口裕朗)
元K-1王者の武居由樹(右)の右ストレートが東洋太平洋王者の顔面を捉える(写真・山口裕朗)

強さは本物!なぜ元K-1王者の武居由樹はボクシング転向5戦5KOで東洋王座を獲得できたのか…バンタム級での世界獲得プラン浮上

武居の階級であるスーパーバンタム級のWBOアジアパシフィックと日本タイトルを持つのは同門の元WBC世界バンタム級暫定王者の井上拓真で、そして井上尚弥は、この12月にバンタム級での4団体統一を成し遂げると、来年にはスーパーバンタム級へと転向する。もちろん井上が狙うのは、スーパーバンタム級の世界の4本のベルト。過去に2階級で4団体統一を果たした王者は1人もいないという偉業だ。そうなると武居が狙う世界のベルトと重なる。

 そこで出てきた秘策が武居を入れ替えでバンタム級へ下げるプラン。

 大橋会長は、囲み取材で、隣に座る武居と八重樫トレーナーに向かっておもむろに「バンタム(級)でできるだろ?」とオファーをかけた。

「スーパーバンタム級だと小さい。(バンタム級の)尚弥の方がでかく見える」という大橋会長の見立てもある。

 武居は「できる気がします」と返答。元世界3階級制覇王者で4階級に挑戦したことがあり階級の変化を身をもって体験してきた八重樫トレーナーも「大丈夫だと思います」と太鼓判を押した。現在、すでに7キロ近くの減量を行っている武居は、さらに2キロほどの減量を余儀なくされることになるが、拒否反応は示さなかった。

 もしバンタム級に落とすことができるのであれば、来年は井上尚弥が返上する4つのベルトが空位となり一気にチャンスが浮上する。同門の拓真もそこを狙っているが、大橋会長は「隙あらば」と、早ければ来年にも武居の世界挑戦の可能性があることをほのめかした。

 武居はすぐに世界を獲れるのか。

 相手次第では非凡な一発の爆発力で勝てるのかもしれない。ただ確実に世界の頂点に立つとなるとまだ課題は残る。

 八重樫トレーナーの言葉が、そこを端的に表していた。

「今日は打ち合ったが、攻防の緻密さ、相手は(出てこずに)見る場面も多かったが、そこをどう崩していくかも課題。今まで5戦をやって、いろんな練習、合宿で作ってきたものがあり結果として伸びていると思う。ボクサーらしくもなってきた。一発で倒す魅力はあるが、コンビネーションや、連打で倒すとかの課題をクリアしていくとトップ(世界)に近づいていける」

 いずれにしろ年内には、このタイトルの防衛戦を行う予定。スーパーバンタム級の対戦相手には事欠かない。大橋会長の考えはわからないが、井上尚弥戦を熱望している元2階級制覇王者でWBA世界スーパーバンタム級2位の亀田和毅(31、TRY BOX平成西山)とのマッチメイクも面白いのかもしれない。 「これからは狙われる立場。K-1(元王者)として負けられない」

 あくまでも東洋太平洋タイトルは通過点。パンチ力という天性の宝物を授けられている武居の未来は無限大だ。

(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)

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