愛工大名電のサヨナラ勝利呼び込む火消しに成功した元中日“レジェンド”ストッパー岩瀬仁紀の長男・法樹のプロ評価は?
父の仁紀さんも評論家活動の合間を縫って甲子園にかけつけた。自らは西尾東高時代に立てなかった聖地のマウンドで、堂々と火消し役を務めあげた息子のピッチングに目を細めていたという。
さて岩瀬に対するプロの評価は、どうなのだろう。父の背中を追いプロの世界で活躍できる可能性はあるのだろうか。
“名将”故・野村克也氏が最も信頼した“右腕”として知られ、阪神ではスカウト、ヤクルトでは、編成の責任者としてドラフトの指揮を執った松井優典氏は、こう分析した。
「現時点ではプロのドラフト候補には上がらないレベルでしょう。1回戦ではストレートのマックスが144キロだったが、この日は141キロ。お父さんと同じくスライダーを武器にする変化球投手だが、ストレートの球速が140キロ後半くらいまで伸びてこないと苦しい。時間はかかりそう。おそらくお父さんと同じく、今後は大学へと進むのでしょうが、その中でどれだけ成長するか。ただ大化けする可能性も感じさせた」
松井氏が可能性を感じたのは、そのスライダーのコントロールと父譲りの勝負度胸。これらは、いずれも天性の才能だ。ちなみに、そのスライダーは父の直伝ではなく、自らが研究して会得したものだという。チームは、メジャーやプロ野球でも主流の最先端のデーターや動作解析を取り入れ、ボールの回転数や回転軸をチェックしているが、それらの成果で岩瀬は、数種類のスライダーの投げ分け技術を会得したのかもしれない。
「右左は違うがフォームも若干お父さんに似ていた。体型は、お父さんは181センチあったが、彼は168センチ。そこは母親譲りなのかな。比較するのも可哀そうだが、そのスライダーも似て非なるもの。お父さんのスライダーは、ストレートと同じ腕の振りで右打者に対して鋭角な角度でグサッと入ってきて視界から消える魔球だったが、彼のスライダーはまだひねって投げている段階だ。ただカーブのように抜いたものや、速いものなど、スライダーを数種類投げわけて、右打者の外へ投げ切るコントロールがある。ピンチでも動じず気持ちの強さを感じた。体の丈夫さもあるように見えた。この2つは天性の才能。お父さんは大学時代は野手との二刀流で、社会人にいってから急成長してプロへの道を切り拓き、球史に名を残す大投手となった。本人がお父さんの背中を追いプロを希望しているかどうかは知らないが、今後どう成長していくかが楽しみだ」
父の仁紀さんは、甲子園出場経験はなく、愛知大では、投手と外野手の二刀流で、NTT東海へ進んでから投手として開花し、中日にドラフトの逆指名枠のドラフト2位で入団するなど遅咲きだった。
チームのテーマは「勝ち登れ頂点へ」。ベスト8進出をかけた3回戦は15日の第3試合で2試合続けて7得点をマークしている強力打線の明豊(大分)とぶつかる。岩瀬のストッパーとしての役割が重要になってきそうだ。