日本サッカー協会が秀岳館サッカー部の問題に”怒り”の本格介入を示唆…「憤りを感じる。しかるべきアクションを取る」
JFAは2013年から「暴力等根絶相談窓口」を設置「本協会登録チームにおけるサッカーの活動現場で生じた暴力行為(直接的暴力、暴言、脅迫及び威圧等)に関する通報」を専用電話、ウェブフォームの両方で受け付けている。47都道府県協会を飛び越え、JFAへ直接SOSを届けるのもまったくかまわない、と須原専務理事は続けた。
「JFAの代表電話へかけていただいてもいい。われわれは必ず対応します」
再発を防止していくには、指導者の意識改革も必要不可欠となる。
2001年に英語科教諭として秀岳館高へ赴任した段原前監督は、全国からサッカー部員を集めるルートを持つなど、少子化が進むなかで学校経営にも貢献した。時間の経過とともに教職員のなかでも台頭し、今年4月からは教頭と同格の校長補佐に昇格。絶対的な権力を持ったがゆえに、周囲の誰もが注意できない異常な環境が生まれた。
ただ、似たような状況は全国で少なくない可能性も考えられる。だからこそ、コンプライアンス委員会として公認指導者ライセンスを担当するJFAの技術委員会と連動し、指導者への啓蒙活動を展開していくのも急務だと須原専務理事は力を込めた。
「今回の一件には技術委員会も非常に強い関心を持っているので、例えば新規の指導者養成講習会やライセンスの更新講習などで、コンプライアンス案件に関するコンテンツやプログラムを必須にする、といった件もすでに検討している。いずれにしても、この(秀岳館高校サッカー部の)件についてわれわれは許すことができない。スピーディーに対応することによって、しっかりとメッセージを出していきたい」
不適切な行為をはたらいた指導者に対して、最上部団体として下せる処分を除けば、他は検察や警察の捜査終了を待たずにJFAとして独自に進められる。
「こういった事態が続くと、サッカー界の将来に対して大きな不安要素が出てくるので」
須原専務理事の言葉からは、サッカー界の未来を担う子どもたちを守っていく上で、ひとつの高校における不祥事という案件を飛び越えた危機感がひしひしと伝わってきた。
(文責・藤江直人/スポーツライター)