明日ゴング!井岡一翔の再戦相手ニエテスは”ヘビ男”だった…マングースになって「どちらが本当の王者かを証明する」
この日の検診では、上背で井岡が約4センチ上回り、ツーショット写真を求められ並ぶと井岡が明らかに大きかった。リーチは、そう変わらないが、井岡の遠い距離からの抜群のステップを駆使した出入りのボクシングに付き合えばニエテスに勝機はない。今回も“ヘビ男”の異名通りに接近戦がポイントになることは間違いないが、ニエテスは、あえて「変えるかも」と発言して心理戦を仕掛けてきたのである。 そして「もしチャンスがあればKOする」と宣言した。
一方の井岡の検診結果は、身長が昨年の大晦日の福永亮次(角海老宝石)戦に比べて、首回りが1.2センチ大きくなり、胸囲は1.6センチ下がった。
これらの数字について聞くと井岡は苦笑いしながら、こう説明した。
「予備検診の身体測定は精密にやらないし、最低限どういう健康状態かを見ているだけの一種のセレモニー。今回の数字でどうこうは思わない」
予備検診での1センチ、2センチの誤差はたぶんにある。身長も2ミリ縮まっていたが「髪型もあるかも」と笑う。
ただ、井岡の肉体は3年7か月前に比べると大きく変わっていることは確かである。当時は、スーパーフライ級に上げて2戦目。まだフライ級のスケールから脱皮できていなかった。インファイトで、ニエテスに遅れを取ったように映ったのも、そのフィジカルの差が影響していた。だが、ピラテスで体幹を鍛え、代官山の最新鋭のジムでハードなメニューを組み、何よりも、この3年7か月で、5試合を消化してきたことで、スーパーフライ級の肉体を作りあげた。
「体格の優位もやり辛さもない」
井岡は、そうも語ったが、ニエテスの得意のインファイトでも対抗できる自信がある。 ニエテスが“ヘビ男”ならば、井岡は、食い殺す“天敵”マングースである。
「ニエテスに負けたが、その後、4階級制覇を達成して、その負けは払拭した。時を経てまたやるのは何かの縁。(前回のニエテス戦が)終わったあとの会見でも、その時(再戦)が来ると口にしていた。こうやって、もう一度戦うのも運命。きっちりと決着をつけて、どちらが本当のチャンプかを証明していかなくちゃいけない」
井岡のモチベーションは高い。
「あとは体重調整。自分がやっていこうと思っていることを淡々とこなしてリングに上がる準備を着々とやるだけ」
井岡は余裕の表情を浮かべた。
今日12日の前日計量、調印式を終えると、いよいよゴングである。
(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)