横浜DeNA今永昇太の8月5連勝の裏に「眠れない夜」
セ、パの8月度の「大樹生命月間MVP賞」が7日、発表され、セの投手部門で横浜DeNAの今永昇太が選出された。チームは8月に18勝6敗の成績で首位ヤクルトを猛追したが、今永は、その中で5連勝。リーグトップとなる防御率1.25、36イニング、31奪三振の内容でチームを牽引した。月間5勝は、球団では大洋時代の1957年8月度の権藤正利氏以来の快挙。また打者部門はヤクルトの村上宗隆が受賞。パはオリックスの宮城大弥と楽天の島内宏明が選出された。
「悪いと言われながらも勝つ。それを普通にやるのが好投手の条件」
「狙ってもらえるものではない。素直にうれしい」
8月度の月間MVPに選ばれた表現力豊かなハマの左腕エースはストレートに心境を明かした。2019年5月度以来2度目の受賞となる。
8月に18勝6敗の快進撃を見せ首位ヤクルトに4ゲーム差まで迫った横浜DeNAの象徴が今永の無傷の5連勝だった。
8月2日の広島戦での6回2失点勝利を皮きりに、阪神、巨人、阪神、中日と、8月の火曜日の登板すべてに勝った。
今永は「同じローテーの大貫選手や浜口選手、クローザーの山崎康晃さんも、みんないいピッチングをしている中で投手を少しだけ引っ張れた。僕だけじゃなく、僕に数字がついただけであって、他の投手と一緒に先発も中継ぎも頑張ったと思う」と、結束している頼もしい仲間たちへ感謝の意を示した。
ストレートの質が安定していた。回転数やボールの軸の角度など、横浜DeNAが誇るデータ部隊のバックアップで、チェックを怠らず、肉体の疲労などで、常にコンディションが変わる中で球種配分の半分以上を占めるストレートの状態を維持してきたことが大きい。ストライク率もアップ。そこにチェンジアップ、カット、スライダー、カーブなど変化球のキレと制球力、そして配球の妙が加われば無敵である。
だが、5連勝を振り返り、「決して相手チームを圧倒したとか、完璧なピッチングをしたわけじゃない」という。
「悪いなりに、悪いところに投げながら気づいて、それをうまくマウンドで合わせられた」と自画自賛する修正力に優れていた。
5勝のうち手応えを感じた勝利は8月16日の巨人戦。今永は巨人エースの菅野と投げ合い、2回に岡本に同点アーチを許すが、以降、7回まで得点圏に走者を出しながらも、スコアボードにゼロを並べ、チームは3-1で勝利した。 「調子自体はいいとは言えず、7回1失点だったが、体感的には5点くらい取られていてもおかしくない指先の感覚だったが、うまく相手をかわせた。客観的に見て危なくない選択がすべてできていた」
実は、こういうピッチングこそが今永が追い求めている理想の姿だという。
「悪いと言われながらも勝つ。それを普通にやるのが好投手の条件だと思う。相手を圧倒できればいいが、そうはいかない試合が多い。それでも淡々と投げることを目指している」
好不調に左右されることなく勝てる投手。つまり常勝エースを追い求めている。
5連勝の裏に眠れない夜があった。