横浜DeNA9回一死満塁の逆転サヨナラ機を逃した「代打藤田」の三浦采配巡りSNSで“炎上”騒ぎ…「代打大田の方が阪神にはプレッシャーだった?」
橋上氏は、矢野監督の3回の決断がターニングポイントだったと見た。2回に宮崎に先制アーチを許し、3回一死一、三塁から、才木の暴投(実際は股を抜かれた梅野の記録に残らないエラー)で2点目を失うと、さらに一死一、三塁と続くピンチで矢野監督は、先発の才木をあきらめ浜地を送ったのだ。もし3点目を許せば、阪神打線の状態を考慮すると横浜DeNAに決定的なアドバンテージを与える状況だった。
しかし、4番の牧は、浜地の初球のカットボールに手を出して4-6-3の併殺打に倒れた。
「あの継投が阪神に流れを運んだ。次の回、佐藤にラッキーパンチの本塁打が出たが、これも、この流れから出た一発。近本、大山のバント失敗があっても、選手に助けられ勝ち越せたのは、試合の流れが阪神にあったからこそ起きた現象」と橋上氏。
横浜DeNAは、得点圏に走者を進めながらも、あと1点が遠かった。
8回にも二死二塁のチャンスで最多安打のタイトルホルダーで主将の佐野に打席が回ってきたが、前倒しで出てきた湯浅の150キロのストレートに差し込まれて一塁ゴロに終わった。三浦監督が言う。
「今日の1点も、神宮で目の前で(ヤクルトの)胴上げを見た1点も、1点以上のものがあった。まだまだ足りない部分がある」
目の前で優勝を決められた9月25日のヤクルト戦も0-1の1点差負けだった。
紙一重の戦いだったが、その1点が、最下位から「横浜反撃」のスローガンを元に大きな変貌を遂げた横浜DeNAが詰め切れなかった部分だろう。
橋上氏も、「この1年でチームは大きく変わったが、ここ一番で勝ち切れない。細かいつめの部分に野球の甘さがある。それが大事な試合で出た。長年チームに染みついてしまったものを1年で変えるのには無理がある。ただ、この経験が来年はプラスになるのではないか」と指摘した。
試合後に三浦監督は、緊急ミーティングを開いた。
「去年悔しい思いをして、反撃のスローガンのもと、1年間、戦い抜いてくれたことに感謝の気持ちを伝えた。新型コロナの制限、ストレスがある中でコンディションを整え、明るく元気にグランドに立ってくれた。最後まで横浜DeNAらしく元気に日々成長しながら戦えた。昨年に比べるとかなり変わってきたが、目標まで届かなかった。この悔しさを忘れずに」
悔しい思いをしたが、来季に向けての手応えをつかんだレギュラーシーズンの2位であり、CSファーストステージの1勝2敗の3試合だった。最下位から見事に這い上がり、この1年間、決して選手個人をやり玉に挙げるようなコメントを発することなく、勝っても負けてもポジティブに前を向き続けた三浦監督が、会見をこんな言葉で結んだ。
「悔しい…でも去年の悔しさの内容が違う。1年でいいチームに変わってきた。でももっともっと変わらないといけない」
「反撃」から「頂点」へ。三浦監督の勝負の3年目がスタートした。
(文責・RONSPO編集部)