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国立に大観衆を集めた記念マッチで横浜F・マリノスが清水エスパルスを下してJリーグ通算500勝利をマーク。30年前のチーム1勝目に貢献した水沼貴史氏の長男・宏太氏が2アシストの活躍(資料写真・アフロスポーツ)
国立に大観衆を集めた記念マッチで横浜F・マリノスが清水エスパルスを下してJリーグ通算500勝利をマーク。30年前のチーム1勝目に貢献した水沼貴史氏の長男・宏太氏が2アシストの活躍(資料写真・アフロスポーツ)

横浜F・マリノスがJ通算500勝…1勝目を刻んだ父・水沼貴史氏から30年の時を超え長男・宏太が2アシスト活躍の運命ドラマ

 

明治安田生命J1リーグ第19節の9試合が2日に行われ、首位の横浜F・マリノスが清水エスパルスを5-3で撃破。鹿島アントラーズに次ぐJ1通算500勝に到達した。清水の創設30周年記念マッチとして国立競技場で行われた一戦で、FW水沼宏太(32)が2アシストをマーク。国立競技場で1993年5月に行われた歴史的な開幕戦で、父親の水沼貴史さん(62)がマリノスの初勝利に貢献してから30年目。運命に導かれたように、同じ舞台で節目の白星を手にした。

前半アディショナルタイムに絶妙クロス

 ここしかないというコースを、超低空の高速クロスが切り裂いていった。1-1で迎えた前半アディショナルタイム。水沼が伝家の宝刀を抜いた。

 清水ゴール前でパスを受けたMF西村拓真(25)が相手を引きつけてから、ペナルティーエリア内の右側をトップスピードで攻め上がってきた水沼へボールを預けた。

 選択肢はひとつだけ。ワンタッチでクロスを、日本代表GK権田修一(33)と清水の最終ラインのほんのわずかな隙間へ入れる。しかも、相手が反応できないほどのスピードで。しかし、FWレオ・セアラ(27)にだけは何も言わなくても意思が伝わっていた。

「ゴール前で僕がクロスを上げられる状態だったら、僕を信じて飛び込んでくれ」

 日々の練習から水沼はこんな言葉を、ブラジル出身のストライカーにかけ続けていた。さらに清水戦のキックオフを前にして、こんなひと言がつけ加えられた。

「今日はアシストするからね」

 果たして、ファーサイドにいたレオ・セアラはただ一人、超低空の高速クロスに反応する。スライディングしながら左足をボールにヒットさせ、美しいボレーを決めた直後。清水の選手たちがアピールしたオフサイドは、もちろん認められなかった。

「あそこしかない、というところに(クロスを)通せたのは、自分が自信を持っている部分でもあるので、ゴールにつながってよかったと思っています」

 J1で屈指のクロッサーの本領を発揮した水沼は、3-2とリードして迎えた後半7分にもレオ・セアラが達成したハットトリックを完璧な形でアシストしている。

 ペナルティーエリアの右角でボールを受けると、中央にいた西村へ意図的に緩いパスを預ける。清水のマークがボールに集中した刹那に前方へダッシュ。西村のリターンを受けてゴールに迫り、自らもゴールを狙える体勢でややマイナスへ折り返した。

 走り込んできたレオ・セアラが右足をヒットさせ、ゴールネットを揺らした瞬間、ペナルティーエリア内にはマリノスの選手が実に6人も走り込んでいた。標榜してきたアタッキング・フットボールの理想型を出せたと水沼は胸を張った。

「僕たちはいま、引いた相手をどれだけ嫌がらせることができるのか、というところに取り組んでいるので。何人も絡んで相手ゴールに向かっていくことができたという意味で、チームとして自信になるゴールになったと思います」

 改修後の国立競技場のピッチに立つのは初めてだった。ただ、スタジアムがある東京都新宿区霞ヶ丘町という場所に、水沼は運命に導かれたような縁を感じていた。

 

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