浦和レッズ“声出し応援”消える…J警告と管理強化の効果か
明治安田生命J1リーグ第21節の7試合が10日に行われ、浦和レッズが3-0でFC東京に快勝した。新型コロナウイルス対策で禁止されている応援歌合唱やブーイングなどの声出し応援を一部サポーターが繰り返した運営責任を厳しく問われ、再発した場合には無観客試合や勝ち点剥奪もありうるとJリーグから警告されたのが5日。浦和側が管理を徹底したなかで、6日の京都サンガF.C.戦に続くホームの埼玉スタジアム2連戦を問題なく終えた。
FC東京に3-0圧勝
怒気が込められた声が、一瞬だけゴール裏のスタンドから上がった。
ロングボールをFC東京のDF森重真人(35)と、浦和のFW明本考浩(24)が並走しながら激しく争った後半33分。ボールを収めた森重が、守護神ヤクブ・スウォビィク(30)へ出した横パスがゴールラインを割ったかに見えた直後だった。
明本が両手を広げてコーナーキックをアピールしたが、副審は旗を上げない。そのままプレーが続行された展開に対して、目の前で見ていた浦和のファン・サポーターも声で反応した。しかし、はっと我に返ったように、すぐに不満の矛先を収めた。
直後にも自陣の左タッチライン際で、浦和のMF岩尾憲(34)が背後からFC東京のFW渡邊凌磨(25)に激しく倒された。しかし、渡邊へ向けられた怒声もすぐに収まり、埼玉スタジアムは手拍子が大きく反響する、それまでの光景を取り戻した。
Jリーグが定める「新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」は、ファン・サポーターに対してすべての発声を禁止しているわけではない。 野々村芳和チェアマン(50)も「スタジアムで常に黙っていなければいけない、ということではない」と言い、こう続ける。
「瞬間的に出る声は許容されるものだと思っている。あくまでも集団で長く、なおかつ故意に出す声をクラブが管理できているかどうか、ということです」
FC東京戦で浦和のファン・サポーターから上がった怒声は、試合展開に導かれる形で思わず出てしまう現象であり、すぐに収められた点を含めて許容対象となる。前半31分、後半5分、そして25分と3度決まったゴールの瞬間や、3試合ぶりの勝利を零封で手にした直後に上がった歓喜の声も然りだ。 対照的に応援歌の大合唱や集団でのブーイング、指笛などJリーグが問題視していた禁止行為は、6日の京都戦に続いて最後まで埼玉スタジアムに響かなかった。
Jリーグは5日に開催した臨時実行委員会で、一部サポーターが違反行為を繰り返していた浦和に対して、運営責任を問う形で初めて厳格な姿勢を示した。
違反行為として把握されていたのは、5月21日の鹿島アントラーズ戦と今月2日のガンバ大阪戦。前者は試合前に大勢のサポーターが場外に集結し、埼玉スタジアム入りする選手バスを応援歌で鼓舞。後者では敵地パナソニックスタジアム吹田のゴール裏でサポーターが応援歌を何度も大合唱し、さらにブーイングを繰り返した。
あくまでも一部のサポーターだが、クラブとして管理できていないとして、野々村チェアマンはJリーグ規約に則って最大2000万円の罰金を科すペナルティーを裁定委員会に諮問すると明言。さらに今後も繰り返された場合には、無観客試合の実施や勝ち点の剥奪もありうるとまで臨時実行委員会後に強く踏み込んだ。