球界大御所が日ハムBIGBOSSの来季続投を緊急提言…「新球場開幕は新庄でいくべき。面白い野球で個性派若手を育てている」
広岡氏は、その采配にも注目している。
「新庄はやりたいことをやっている。“あっ”と思わせるような野球だ。常識では考えられないケースでエンドランをかけ、スクイズをやり、ダブルスチールをかける。おそらく相手ベンチは何をやってくるのか、と戦々恐々だろう。こういう奇策は戦力のないチームがやっても効果のないものだが、新庄の場合は、シーズンを通じて徹底しているから実におもしろい。ソフトバンクとの開幕3連戦では、中継ぎや抑え投手を先発させて、コロコロと投手を代え、何やってんだと思っていたが、投手起用も落ち着いてきた」
走者三塁でのエンドランやスリーバントスクイズなど広岡氏は、BIGBOSS新庄が繰り出す奇策の数々を「おもしろい」と評価する。
一方でチーム犠打率が84%を示すなど「送るところは送る」という硬軟織り交ぜた作戦を採用している。またチーム成績は、最下位だが、チームの盗塁数68はリーグ3位、打率.233、得点圏打率.249は同4位で、チーム防御率3.47はリーグ最下位だが、怪我で離脱した上沢、伊藤を軸に回す先発防御率は3.35で、何から何まで悪いわけではなくチームカラーは出ている。7月7日のロッテ戦から16日の西武戦までは7連勝。その後、反動で6連敗したが、チームポテンシャルも示した。
そして何より広岡氏は若手育成の手腕を評価している。
「清宮に“痩せろ”と指令した効果が出ている。才能や個性のある若手にチャンスを与え、徐々にではあるが、その可能性も開花しつつある。松本、野村、万波ら、個性とスケールのある選手が目につく。個性に乏しい巨人の若手育成とは対照的だ」
またチームの失策数は56あるが、広岡氏は、外野の守備力の向上に注目した。 「昨年の秋季キャンプで新庄がトラックの上に上がって、低く投げる遠投を指導していたが、日ハムの外野手のチャージと、その返球、肩には目を見張るものがある。彼自身の現役時代のプレースタイルからくるものかもしれないが、派手な采配や、奇抜な選手起用の裏で、守備力という基本をしっかりと鍛えている。広い新球場に合ったチーム編成だ。外国人を補強しなければ、来年の優勝争いは、まだ無理だろうが、チームの土台はできてきたように思える」
辛口の球界大御所にしては珍しい“褒め殺し”だが、最後に「ファッションなのか、なにか知らないが、あのサングラスも含めた新庄の格好はなんとかならんもんか」と苦言を呈することも忘れていなかった。日ハムは新球場元年のタクトを誰に託すのだろうか。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)