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阪神先発の西勇輝(下)がヤクルトの“3冠王”村上宗隆をどう封じるかがCSファイナルSの行方を占う
阪神先発の西勇輝(下)がヤクルトの“3冠王”村上宗隆をどう封じるかがCSファイナルSの行方を占う

矢野退任ー岡田新監督決定効果が阪神の“CS勢い”の理由…今日CSファイナル開幕…阪神はヤクルトに“下剋上”できるのか?

 今日12日からセ、パのクライマックスシリーズ(以下CS)のファイナルステージが始まる。注目は3位からの“下克上“に挑む阪神と連覇を狙うヤクルトの神宮での戦いだ。打線の状況は決して良くないが、横浜DeNAとの死闘を2勝1敗で制して勢いに乗る阪神は、セでは2017年の横浜DeNA以来となる5年ぶりの3位からのCS突破を狙う。カギを握るのは史上最年少の3冠王を獲得し最終戦で日本選手のシーズン最多記録を更新する56号を打った村上宗隆(23)との対決。17日までの6試合で(ヤクルトにアドバンテージ1勝)先に4勝したチームが日本シリーズに進出する。

 ノムさんの金言「短期決戦は運と勢いや」

 

 ヤクルトで日本一を3度手にした名将・故野村克也氏が残した金言がある。
「短期決戦は運と勢いや」
 もちろんデータの洗い直しを入念にする準備があっての話だ。
 その意味で今の阪神は「運と勢い」に乗っている。
 横浜DeNAとのファーストSでは4番の大山が3試合ノーヒット。第2戦は完封負けを喫し、相変わらずの“守備シャッフル”を繰り返して、第3戦では、佐藤、大山、梅野に守りのミスが出たにもかからず、ファーストステージ突破を決めた。運がある。
 楽天、西武、巨人で“参謀”を務め、ノムさんの右腕としてID野球を熟知する現新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏は、「短期決戦で重要なのが、野村さんの言うように運と流れと勢い。阪神はそれをつかんだ」と、その勢いを評価する。
「阪神の分厚い投手力が効いている。シーズン中からなぜこれを早くやらなかったのか疑問だが、湯浅を最後に配置し、早め早めに継投しているブルペン陣が盤石。西純の中継ぎ起用もはまっている。そもそもCSは両チームが、いい投手をどんどん注ぎ込んでくるので、簡単に点が取れないものだし、ブレーキになる選手が出てきてしまうと苦しくなる。だからこそ“CS男”が出てきてのワンチャンスでの得点がポイントになるが、阪神には近本が出てきた。守備でもまるでゾーンに入ったようなプレーを見せた。これが勢い」
 シーズン中のクローザーだった岩崎とセットアッパーの湯浅を入れ替える配置転換と、西純を中継ぎに回した“CSスペシャル”の勝利方程式が機能。矢野監督の機を逃さない継投策も冴え、第3戦では湯浅が9回一死満塁のピンチを切り抜けて自信をつかんだ。2度あったヒーローインタビューは、いずれも湯浅。投の“CS男”だ。
 打線は低調だが、近本が第1戦で決勝タイムリー、第3戦でもバント失敗からのヒッティングへの切り替えで同点タイムリーを放つなど、3試合で打率.455(11打数5安打)3打点と気を吐く。1番の中野も、打率.500(12打数6安打)2盗塁で近本と共に打の“CS男”となっている。
 橋上氏は、その勢いの裏に今季限りの退任をキャンプ前に発表した矢野監督との惜別と、次期監督に2005年優勝監督である岡田彰布氏が内定した報道の影響があると見ている。
「矢野監督に思い入れのある選手も、ない選手も、“監督はこれを最後に辞めるんだ”という現実が目の前にきてやっと“最後に有終の美を飾らせてあげたい”という気持ちで一丸となっているように見える。また次期監督が岡田さんに決まったという報道が出たことで“次の監督にアピ―ルしたい”という気持ちもプラスに働いている。球団サイドは人事問題が報道されることを嫌がっているようだが、むしろ逆。今は、それらがチームに勢いをつける理由になっていると思う」
 では、その勢いが最終的に12ゲーム差を付けられ、今季11勝13敗1分と4年ぶりに負け越したヤクルトに通用するのだろうか。

 

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