神戸のロティーナ新監督就任会見に出席した永井秀樹SDに感じた違和感…「質問は新監督に関してのみ」の制限も
謝罪に続いてスポーツダイレクターとしての抱負を語った永井氏は、ロティーナ新監督を招聘した理由を説明した。会見は事前に「質問は新監督に関してのみ」と告げられ、さらに質疑応答もテレビ、新聞の1社ずつによる代表質問という形が取られた。
写真撮影を含めて約30分間の新体制会見を終えると、オンラインによる囲み取材が設けられた。しかし、対応したのはロティーナ監督だけで、永井氏は栗原強化部長とともに退席した。謝罪もスポーツダイレクターへ就任するまでの説明もすべてが不十分な状況だからこそ、冒頭で記したように違和感を覚えずにはいられなかった。
神戸の公式ホームページには、サポーターミーティングにおける三木谷会長、そして永井氏の発言の要旨が掲載されている。 永井氏の入閣は、20年来の親交がある三木谷会長から寄せられる信頼のもと、ヴェルディユース監督時代からの指導法を含めて評価した上での決定だった。永井氏も「どんな事情があっても自分の未熟さから出たこと」と自らの行為を真摯に受け止め、一度はスポーツダイレクター辞任を申し出たものの、三木谷会長から慰留されて翻意した。
しかし、公式ホームページ上に掲載したと言っても、世間から拒絶反応を示された人事の背景が一部だけに伝えられている状況であり、これではは意味をなさない。三木谷会長は自身の多忙を理由に記者会見を開けなかったと説明したが、永井氏が一方通行で“言っただけ”となった新体制会見を含めて、中途半端な状況が続くほど不信感が膨らんでいく。
永井氏は楽天グループのコンプライアンス・ハラスメント教育研修を受け、JFAからは資格停止処分の期限となる12月までの間に研修会や社会奉仕活動への参加も義務づけられている。そもそも資格停止処分には、反省を重ねた上で指導者だけでなく人間としても成長し、世間に認められる形で復帰してほしいという願いが込められている。 失敗した人間がそれでも前を向いて、再チャレンジできる社会環境は絶対に必要だ。しかし、ヴェルディの調査で監督時代のさまざまなパワハラ行為が報告され、Jリーグからも認定された以上は、実際に被害を受けた選手や関係者への正式な謝罪がなされないまま事態が推移していく現状は、残念ながら受け入れられない。
ピッチ外だけでなくピッチ内でも、神戸は待ったなしの状況にある。
長く低迷していたヴェルディを率い、2年続けてJ1昇格プレーオフへ導いた2017、18シーズンに、永井氏はユース監督として知将の采配を目の当たりにしている。
「緻密な戦術の構築を見させていただいたなかで、ロティーナ監督の能力を疑う余地はまったくない。素晴らしい選手がそろっているなかで、ロティーナ監督を中心に苦しい状況を好転させていけるように、われわれも新体制を全力で支えていきたい」