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世紀の決戦を前に天心と武尊は前日計量で静かな火花を散らす
世紀の決戦を前に天心と武尊は前日計量で静かな火花を散らす

空前絶後のビッグマッチ天心vs武尊…「勝利イメージ見える」天心か、メイウェザー戦略の武尊か…勝つのはどっちだ?

両者がクリアした契約体重は58キロである。55キロがベストとされる天心が3キロ上げ、60キロがベストの武尊が2キロ下げる、両者の中間地点を取った形だ。交渉時には、0.5キロの単位での攻防があったとされる。 一般的には、階級を落とした場合にも、パワーはそのまま、その階級に持ち込めると言われている。前日計量後のリカバリーで体重が戻ることを織り込んでの理論だ。だが、限界までの減量を強いられた武尊には、さらなる関門が待ち受けている。試合開始3時間前に当日計量があり、体重戻しが「4キロ以内」と制限されたのだ。

 計量後に恒例のうなぎを食べると明かした武尊も「小まめに体重を計りリカバリーする。やったことがないのでどれくらい戻るか把握できていない」と不安を隠さない。

 通常の計量後のリカバリーは5、6キロ程度。4キロだと問題がないように見えるが、武尊は、未知の領域の58キロまで落としたため62キロまでしか戻せないのは苦しい。

 しかも、62キロの体重でベストな動きができるようにしておくためには、水抜きの減量だけには頼れず、通常体重を落としておく必要があり、筋量が削られ自慢のパワーが不足する危険性がある。計量で見た武尊は明らかに体の厚みをなくしていた。この半年、武尊はストイックな自己規制をかけてきたそうだが、その影響はリングに立ってみなければわからないだろう。

 一方、体重を上げる側はスピードやキレが落ちる。天心は2020年の大晦日に57キロ契約でタイのクマンドーイと戦った際には出来が悪く、翌年2月に55キロで志朗と対戦した際には見違えるようだった。適性階級は55、56キロなのだろう。天心も優位なわけではない。

  ただ減量がない分、必要以上のストレスはなくコンディション作りは順調に進み、「減量幅も少なくよりナチュラルに自然体で調整できた」と余裕だった。

では通常の8オンスではなく異例の6オンスとなった使用グローブの影響はどうか。関係者によると日本製「ウイニング」の特注グローブだという。プロボクシングの世界では安全性の確保を理由に1990年代の中頃に日本も含めて世界中で6オンスグローブは使用禁止となった。キック界もその流れで6オンスグローブは使われなくなったという。グローブの拳部分のクッションが薄くなり直接ダメージが伝わるためにKO率が高まる。

「この試合に判定はいらない。KOでどっちかが倒れた、どっちかが立っている図式でないと勝敗はハッキリと決められない。倒して勝ちます」

 そう語るパワー系の武尊にとっては絶好のグローブだろう。

 ただ形状が小さく軽くなるため打撃の威力だけではなくスピードも増すとも言われており、天心の得意分野も生きる。もちろんカウンターの切れ味も増す。そう考えるとどちらも優位性は同じかもしれない。ただ6オンスグローブはクッション部分が薄く試合中に拳を痛めるというリスクがある。天心は拳を守る“バンデージ職人”が陣営にいて故障する可能性が低いが、武尊は、そのパンチ力ゆえ、これまでも拳を繰り返し痛めており、試合中に故障が発生する危険性がある。6オンスグローブは諸刃の剣だ。

 

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