空白続いたジュビロ磐田の監督問題はゴン中山氏でも鈴木氏再登板でもなく内部昇格で幕引き…リスク管理はできていたのか?
指揮官不在の状態が続いていたジュビロ磐田は17日、渋谷洋樹ヘッドコーチ(55)の新監督就任を発表した。最下位転落から一夜明けた14日に、就任1年目の伊藤彰前監督(49)を解任。後任として元監督の鈴木政一クラブアドバイザー(67)やクラブOBのレジェンド、中山雅史コーチ(54)の名前が報じられたなかで、大宮アルディージャおよびヴァンフォーレ甲府時代から伊藤氏とタッグを組んできた渋谷氏に、残り9試合でのJ1残留を託す形となった。
「本来であればないことが一番よかったがチーム事情によって私が就任」
14日から続いていた指揮官不在の状態に、ようやくピリオドが打たれてから約3時間半後の17日午後8時すぎ。磐田のクラブ公式ツイッター(@Jubiloiwata_YFC)に、ヘッドコーチから内部昇格した渋谷新監督のインタビュー動画が投稿された。
動画投稿サイトYouTube内の「ジュビロ磐田公式チャンネル」で公開された6分近い動画の冒頭で、新指揮官は異例ともいえる第一声を発信している。 「まずは私が今回、監督になることについて、本来であればないことが一番よかったんですけれども、チーム事情によって私が就任することになりました。サッカーの世界ではこういう状況がありますけれども、前向きに取り組んで、選手、スタッフとともにいい準備をして、残り9戦、全部勝利できるように戦っていきたい」
特に前半の「本来であれば――」をどのように受け止めるべきか。 ひとつは残り9試合となった終盤戦で、J2降格危機に直面しなければ起こりえなかった指揮官交代に対する悔恨の思い。もうひとつは伊藤前監督の参謀役だった自分も、一蓮托生になるべきだったのではないか、という責任感が伝わってくる。
磐田はホームのエコパスタジアムで行われた13日の浦和レッズ戦で、クラブワーストタイとなる6失点を喫して惨敗。7月以降の7試合で1勝6敗、黒星はすべて零封、1得点に対して15失点と、攻守両面で著しく精彩を欠いた末にガンバ大阪と勝ち点22で並び、得失点差で大きく後塵を拝して3節ぶりに最下位へ転落した。
一夜明けた14日に今シーズンから指揮を執ってきた伊藤前監督だけでなく、強化責任者の鈴木秀人トップチームマネジメント部長も解任。しかし、後任については「決まり次第、発表します」としたまま3日もの時間が経過していた。
後任監督発表と同時に、磐田は公式ホームページ上で小野勝代表取締役社長による声明を発表。渋谷監督に残留を託した理由をこう綴っている。
「キャンプから積み上げてきた戦術を活かし、もう一度チャレンジャーとして戦うマインドを取り戻すために渋谷洋樹ヘッドコーチに監督をお願いすることとしました。J1での監督経験もあり、ここまで積み上げた戦術に渋谷監督なりの要素と熱意を盛り込んで、しっかりチームをマネージメントし残留を勝ち取ってくれると信じています」
渋谷監督は大宮とロアッソ熊本で指揮を執った経験を持つ。 大宮では1年目の2014シーズンに16位でJ2へ降格するも、翌2015シーズンにはJ2を制覇。J1に復帰した2016シーズンにはクラブ史上最高位の5位へ躍進させた。
しかし、続く2017シーズンは開幕6連敗と出遅れ、最下位に低迷していた5月下旬に解任された。J2の熊本を率いた2018シーズンは21位でJ3降格を喫し、1年でのJ2復帰を目指すも5位に終わった2019シーズンをもって退団している。