箱根駅伝予選会に新しい時代の流れ…神奈川大と中央学大が予選落ち波乱の中で立大が〝サプライズ復帰〟を果たした理由とは?
集団走を用いず、個々がレースを作った。そのなかで5㎞通過は4位、10㎞通過は3位、15㎞通過は5位。終盤も大きくロスすることなく、立大は6位で箱根駅伝予選会を突破した。
予定よりも1年前倒しで目標を達成したことになる。どこにポイントがあったのか。
「一人ひとりが1年でも早く箱根に行くんだという気持ちが強くなったのが要因かなと思います。今年は昨年数人しかできなかったAグループの練習が10人以上もできるようになった。選手の気持ちがしっかりつながっていたからこそ、練習の意味もあったと思っています」
上野監督は学生時代、ケニア人留学生と真っ向勝負を演じて、スピードを磨いてきた。ケニア人留学生の存在を強く感じてきた選手だ。立大に留学生はいないが、それでも予選会をクリアできた要因をこう分析している。
「ケニア人留学生は各チームに良い存在意義をもたらしていると思うんですけど、立教大学はそこにフォーカスせず、一人ひとりの個の力。全体のチーム力で突破したんじゃないでしょうか。突出した選手がいませんので、チームトップの國安(広人)を筆頭にチーム12番の後藤(謙昌)までしっかり走ってくれたことに感謝したいです」
神奈川大と中央学大は予選会で集団走という戦術を確立したチームだが、今回は機能せず、敗れ去った。一方、立大は集団走ではなく、個人走で結果を残した。
中央学大・川崎監督は、「今の大学生は自分でペースを作る力がない。いわゆる自立してないので、そういうところの難しさは感じています。立大ですか? 状況に応じた対応ができていたので、選手が自立しているように感じましたね」と語った。
駅伝はチームメイトと一緒に走ることができない競技だ。集団走を用いた予選会で結果を残しても、本戦で通用するわけではない。立大の〝成功例〟が箱根駅伝予選会の戦い方を変えるかもしれない。
(文責・酒井政人/スポーツライター)