西武の松井稼頭央新監督はライオンズを再建できるのか…東尾&辻&高津の3監督から学んだ流儀を生かす
西武の松井稼頭央新監督(46)が18日、東京都内のホテルで就任会見に臨んだ。西武で現役を終えた翌2019年から二軍監督を3年間務め、今シーズンは一軍ヘッドコーチとして辻発彦前監督(63)を支えた新指揮官は、目指していく野球を「躍動感のある走攻守」に設定。昨年の最下位から3位へ導いた辻路線を継承し、さらに現役時代や引退後の経験も還元しながら「常勝」と「育成」の二兎を追い求めていく。
「阪神の岡田監督が黄色(ネクタイ)を着けていたので僕もライオンズブルー」
さまざまな視線が一点に注がれるひな壇が用意された会見場へ、濃紺のスーツに身を包んだ46歳のパ・リーグ最年少監督は、意識して青色のネクタイを締めて姿を現した。
「阪神の岡田監督が黄色を着けていたので、僕もライオンズブルーで。広島の新井監督も赤を着けていましたし、これ(青色のネクタイ)をしろ、と言われているようなものだと思ったので」
12日に広島の新井貴浩新監督(45)が赤色、16日には阪神の岡田彰布新監督(64)が黄色と、ともにチームカラーにちなんだネクタイ姿で臨んだ就任会見に続いたと明かし、メディアの笑いを誘った西武の松井新監督は、一軍を率いる抱負をこう語っている。
「こうして人前に立つことがなかなかないので、正直、ちょっと緊張しています。責任は非常に大きいですし、もちろんプレッシャーもありますけど、自分らしく思い切ってやりたい」
日米通算で2705安打を放ったスター選手に一軍監督を託すために、西武は文字通り球団をあげる形で、周到に準備を積み重ねさせてきた。
楽天からプロの第一歩を踏み出した西武へ、実に15年ぶりに復帰した2018年。松井氏は新設されたテクニカルコーチを兼任し、指導者としての道も歩み始めた。
その年限りで四半世紀におよんだ現役に別れを告げると、翌2019年には西武の二軍監督に就任。3年間にわたって若手選手を育て、さらに今年は一軍ヘッドコーチとして辻前監督をサポート。打順の決定だけでなく、試合中にはサインを出す役割も任されてきた。
最下位に沈んだ昨年から、終盤戦まで首位争いを演じた今シーズン。最終的には3位を死守し、ファーストステージでソフトバンクに屈したものの、クライマックスシリーズの戦いも共有してきた軌跡で、新指揮官は辻路線をしっかりと継承する決意を固めた。
「勝利が最優先されるなかで若手も育てた意味で、本当に我慢強い監督だったと思います。自分たちからもいろいろと提案させていただきましたが、そのなかでも若手をもう一度、もう一度と。これから先のライオンズが強くなるために、ということを常に考えられていたし、ずっと我慢されていたことが経験となって、たとえば今年の投手陣が花開いたと思っています」
4年連続でリーグワーストだったチーム防御率が、今年は一転してリーグ1位の2.75へはね上がった。対照的に打線はリーグ最多の118本塁打を放ちながら、打率.229はワースト、得点464は同2位と確実性を欠いた。結果として41本塁打、90打点で二冠を獲得した主砲・山川穂高(30)の調子に大きく左右される、不安定な戦いの連続を余儀なくされた。