阪神が横浜DeNAに“歴史的”ワースト記録更新の完敗でBクラス転落危機…「まるで目標を失ったチームの消化試合」
森木は、左足を一度止める2段モーション、止めずにスムーズに下ろすモーション、そしてクイックと3つのモーションを使い分けてフォームで緩急をつけるのが持ち味だが、この日は、3変化を駆使できず打者を戸惑わせる余裕はなかった。若い投手に大きな調子の波があるのはよくある話。だが、森木は、中日戦での好投後、一度、登録を抹消して調整登板した3日の2軍の広島戦でも4失点して3回途中で降板していた。そもそも今回の先発に無理があったのかもしれない。森木の持つ才能に疑いはない。首脳陣の調子の見極めのミスだ。
矢野監督は、58球で降板を告げて島本にスイッチしたが、手痛いミスが起きる。
一、二塁間に転がった戸柱のゴロに、二塁の山本が深い位置で追いついたが、一度、飛び出してベースへ戻るマルテとのタイミングを合わせようとした送球が大きく上へとそれて、痛恨の2点タイムリーエラーとなったのだ。タイミングは決してクロスプレーでもなく十分に余裕があった。あわてて送球する必要はない。雑なプレーだ。
山本はショートに守備位置が変わった8回にも再びミスを犯す。一死一、二塁で、斎藤は、大和を詰まったピッチャーゴロに打ち取った。すぐさま二塁へ送球したが、山本のベースカバーが遅れ、しかも、入る位置を間違えたことで、その送球をグラブに当てながら落とし、併殺どころか、ひとつのアウトも取れなかった。ミスで走者を残したときに打たれるのはプロ野球“あるある“。満塁にピンチが広がったところで桑原にしぶとく一、二塁間を破られ、2者の生還を許し、7点差のワンサイドゲームとなった。 こういうケースでは、二塁の植田と山本で話をして、どちらがベースに入るかをあらかじめ決めておく。山本のところまで抜けてきそうな打球だったので、山本は戸惑ってしまったようだが、そう難しいベースカバーではなく準備不足が招いたミス。
2回二死満塁のピンチに森木の三遊間の深い位置への打球に追いつき、一塁への見事な送球でアウトにして同点ピンチを防いだ横浜DeNAのショート森とのプレーと比べてあまりに対照的だった。三浦監督は「森の良さが出た。あそこで点を取られなかったことが大きかった」と試合に語ったが、1球、1打への集中力の差が顕著に出た。これが冒頭の阪神OBが「目標を失ったBクラスのチームの消化ゲーム」と酷評した理由である。
ゲーム差は「6.5」あるものの首位ヤクルトとの直接対決を前にマジック点灯阻止に全員で一致団結、「決してあきらめない野球」を続ける横浜DeNAとのチームモチベーションの違いが、ハマスタ8連敗の理由なのだろうか。