阪神はFA検討の西武の森友哉よりも大阪桐蔭“後輩”松尾汐恩のドラフト指名に興味?!
西武の森友哉捕手(27)が今オフにフリーエージェント(以下FA)権の行使を検討していることが9日、明らかになった。「打てる捕手」は、どの球団も喉から手が出るほど欲しい人材で、地元大阪のオリックスや巨人が調査に乗り出す模様だが、2013年のドラフト時に獲得リストに入れておきながら逃したことで虎ファンからバッシングを受けたこともある阪神は、たとえFAが行使されても獲得を見送る方針。FA補強よりも若手育成に目を向けており、20日のドラフトでは、森の大阪桐蔭の後輩にあたる松尾汐恩捕手(18)を上位指名候補としてリストアップしている。
FA宣言すれば争奪戦必至
大物捕手が今オフFA市場に出てくる可能性が出てきた。
西武の森は、この日、CSのファーストステージの第2戦でソフトバンクに敗れ、今季の戦いが終了したことを受けて「とにかく今日も試合に勝てるよう、その一点に集中していました。(FAに関して)いま言えることはありません。この後、少し時間をおいて考えたいです」と球団を通じてコメント。FA宣言を検討する可能性があることを示唆した。
森は、大阪桐蔭高時代に1年秋からレギュラーに抜擢され1年先輩の藤浪晋太郎とバッテリーを組み春夏制覇するなど活躍して2013年のドラフトで西武に1位で単独指名された。ルーキーイヤーから3試合連続本塁打を放つなど存在感を示し、2015年は開幕1軍に抜擢され、DHで出場チャンスを得てオールスターにも選出された。2018年から本格的に捕手に取り組み、ベストナインに選出され、2019年には正捕手として、打率.329、23本塁打、105打点の成績を残してMVPと首位打者を獲得。チームのリーグ連覇に貢献した。
今季の森は、開幕直後に怒りに任せてロッカーでマスクを投げた際に右手人さし指を骨折するアクデントを起こし、約2カ月間、戦列を離れたが、結局、102試合に出場、打率.251、8本塁打、38打点の成績で、攻守でチームのCS出場を牽引した。
「打てる捕手」は、各球団共に喉から手が出るほど欲しいポジションで、しかも、まだ27歳と若いため、もしFA権の行使を決断すれば、地元大阪のオリックスや、Bクラスからの逆襲を狙う巨人などが調査に乗り出すと見られ、争奪戦必至の状況だ。
だが、その中で阪神はたとえ森がFA宣言しても獲得を見送る方針を固めた。次期監督に内定している岡田彰布氏の意向が強く反映されていると見られる。
実は、2013年のドラフトで阪神は森を上位指名候補としてリストアップ。藤浪との大阪桐蔭バッテリーの実現を狙っていたが、事前の調査で2位でも獲得可能との間違った情報を得て、1位は大瀬良(広島)を指名。西武が単独で森を1位指名したため獲得できなかった。結局、阪神は、この年、外れ外れ1位で岩貞を指名したが、虎ファンからは「なぜ森を取らなかったのか?」とのバッシングを受けた。
そういう意味では、森は9年越しの“恋人”のはずなのだが、阪神は昨年オフに複数年契約を結んでFA流出を食い止めた梅野、坂本の2枚がいて捕手が、最重要の補強ポイントでないこともあり、FAでの獲得を見送る方針を決め、今ドラフトで将来のレギュラー候補を指名して捕手を自前で育成していく方針にシフトした。
そこで最上位にリストアップされているのが、大阪桐蔭出身の森の後輩にあたる松尾だ。強肩に加え、元ショートだっただけに敏捷性があり、しかも強打が魅力。今夏の甲子園では、2回戦の聖望学園戦で2本塁打を放ち、ネット裏のスカウトの度肝を抜いた。U-18の侍ジャパンにも選出され、全試合でマスクをかぶり3番で起用され大会のベストナインに選出された。
優勝した先の国体では決勝の聖光学院戦でも本塁打を含む3安打を放っている。高校通算本塁打は38本。ただ阪神の1位指名は、高松商のスラッガーの浅野翔吾外野手が最有力で、松尾が2位で残っているかどうかは微妙だが、他球団の動向を見守りながらドラフト戦略を練り込んでいく方向だという。
(文責・RONSPO編集部)