阪神・矢野監督の退団に伴い“一連托生内閣”も“解散”…井上ヘッド、久慈、藤井、新井コーチらが大量に退団へ
阪神の矢野燿大監督(53)を支えたコーチ陣が大量退団、退任する方向であることがクライマックスシリーズの敗退が決まった14日、明らかになった。退団する方向なのは、1軍の井上一樹ヘッドコーチ(51)、久慈照嘉内野守備兼バント担当コーチ(53)、藤井彰人バッテリーコーチ(46)、新井良太打撃コーチ(39)の4人、藤井康雄1、2軍巡回打撃コーチ(60)、日高剛2軍打撃兼分析担当コーチ(45)らも退任する方向。今日15日には、矢野監督が藤原崇起オーナー(70)にシーズン終了及び退任の報告を行い、岡田彰布氏(64)の監督就任が正式に発表されるが、“新生岡田阪神”は、コーチングスタッフの顔ぶれも一新して再スタートを切ることになる。
藤井バッテリーコーチは“新井広島”が狙う
レギュラーシーズンで12ゲーム差をつけられてヤクルトとの“地力の差”を見せつけられCSファイナルsでは3連敗(1勝のアドバンテージを含む4敗)で“終戦”となった阪神。今年のキャンプ前に異例の今季限りの退任を表明していた矢野監督をともに4年間支えてきたコーチングスタッフも阪神を去ることになった。
退団の意志を固めたのが、1軍の井上ヘッド、久慈内野守備兼バント担当コーチ、藤井バッテリーコーチ、新井打撃コーチの4人。
井上ヘッドは、中日一筋で現役生活を過ごし、落合博満氏が中日の監督を務めた2010年に中日の1軍打撃コーチに就任して優勝に貢献、その後、2軍監督まで務めたが、4年で退団。評論家生活を続けていたが、中日時代に親交の深かった矢野監督から誘われ、2020年から阪神に1軍打撃コーチとして入閣し、2021年からは2年間、ヘッドコーチとして矢野体制を支えた。
明るい性格で情熱家。ベンチでは常に矢野監督の傍にいて、助言を求められれば、忌憚のない意見を出して、打撃面でも佐藤、中野らの若手を育てた。だが、矢野監督と一蓮托生を誓っての阪神入りだっただけに、今回一緒にユニホームを脱ぐことになった。
中日の立浪和義監督(53)が、その指導力を評価しているため、中日の故チングスタッフ入りも噂されていたが、今後は評論家としてネット裏から野球に携わっていく方向だという。
現役時代に名ショートとして阪神、中日でプレーした久慈コーチは、金本知憲氏が監督就任した2016年に一軍の内野守備コーチとして復帰。矢野体制に変わっても、引き続きコーチを務めてきたが、5年連続でチーム失策数のリーグワースト記録を更新するなど課題であった守備力の克服で結果を残すことができず、責任を取る形で退団を決意したと見られる。
藤井バッテリーコーチは、近鉄から楽天を経て2010年オフにFAで阪神に移籍。引退後は、球団職員として阪神に残り、2016年から育成コーチを務め2軍のバッテリーコーチを経て、矢野2軍監督が1軍監督に昇格した2019年から1軍に昇格した。梅野の控えだった坂本を育成するなどしたが、矢野監督とともに退団を決断した。
今後については阪神での現役時代が重なっている新井貴浩氏(45)が新監督に就任した広島が、その経験と能力を評価しており、コーチングスタッフ入りを検討しており、正式に退団が決定した段階で打診する方向だという。
中日から交換トレードで阪神に移籍して、その兄の貴浩氏とともにプレーしていた新井良コーチも引退後、2軍の育成、打撃コーチを経て、2020年から1軍スタッフ入りをして配球分析や若手への指導などで力を発揮してきたが、12年間着た縦ジマのユニホームと決別することになった。
ソフトバンクで打撃コーチを務めるなどしてきた打撃理論と指導力を買われ、矢野監督に誘われ、今季から1、2軍の巡回打撃コーチとして入閣した元オリックスの藤井氏も、1年で現場から退任する方向。オリックスでのスカウト経験などもあることから今後はフロント入りを打診されている模様。
またオリックスからFAで阪神に移籍、引退後はフロントとして尽力し、2020年から2軍の打撃兼分析担当コーチを務めていた日高氏も現場からは退く方向になった。
“新生岡田阪神”は1、2軍共にコーチングスタッフの人心を一新して2005年以来の優勝を目指すことになる。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)