鹿島アントラーズは岩政新監督で何がどう変わったか…湘南戦で手痛いドロー
明治安田生命J1リーグ第26節が21日に行われ、鹿島アントラーズが湘南ベルマーレと1-1で引き分け、岩政大樹新監督(40)のもとでの2連勝を逃した。敵地レモンガススタジアム平塚に乗り込んだ鹿島は、後半14分にFWエヴェラウド(31)の2試合連続ゴールで先制するも、同29分にセットプレーで追いつかれた。解任されたレネ・ヴァイラー前監督(48)の後任として、レジェンドの岩政氏が就任して2週間。鹿島で起こっている変化を追った。
「思った以上に上手くいかなかった。僕の責任」
怒りのベクトルを選手たちへ向けるように、鹿島のFW鈴木優磨(26)は第一声で「オレを含めて、今日はみんなよくなかった」と敵地でのドローに首を横に振った。
「そういう試合で勝てればよかったけど、セットプレーで同点にされるのは弱いチームだと、いまの鹿島を表していると思っています」
前半限りでベンチへ退いたFW土居聖真(30)に代わり、後半からは左腕にキャプテンマークを巻いてフル出場した鈴木を悔やませたシーンは後半29分に訪れた。
湘南が獲得した右コーナーキック。MF茨田陽生(31)の右足から放たれたボールはファーサイドのDF大野和成(33)に頭で折り返され、巧みにマークを外してフリーになっていたFW瀬川祐輔(28)の頭を介して鹿島ゴールに吸い込まれた。
大野のマークを務めていたDF三竿健斗(26)も空中戦で競り負け、ゴール前へ折り返された流れに「自分の責任です」と唇をかんだ。
「相手が前半から(コーナーキックで)ファーサイドを狙っているのはわかっていたし、そのなかで自分なりに工夫はしていた。結果論ですけど、相手がさらにファーに逃げていったなかで、自分のマークのつき方のところで抑えきれなかった」
電撃解任されたヴァイラー前監督の後任として、コーチを務めていたレジェンド、岩政氏が後任に就いたのが8日。初陣だった14日のアビスパ福岡戦を2-0で制し、いい流れに乗って迎えたはずの湘南戦で予期せぬ展開が待っていた。
試合後の公式会見。シュート数で5対14と圧倒され、ボール支配率でも後塵を拝した90分間に、岩政監督は「要因は相手と自分たちの両方にある」とこう続けた。
「まずは相手が背後へのボールを徹底してきた。特にサイドバックの背後へほとんどすべてと言っていいくらいボールを入れてきて、そこで自分たちが後手に回ってしまった。自分たちも前進していきたかったなかで、セカンドボールを拾いやすい状況を作る準備をしたつもりだったけど、思った以上に上手くいかなかった。僕の責任だと思っているし、試合内容からして致し方ない結果だったととらえている」
新体制になってちょうど2週間。鹿島で生じているポジティブな変化は、福岡戦に続いて先発フル出場したDF関川郁万(21)の言葉に凝縮されている。 「雰囲気がよくなったし、練習内容もガラッと変わりました」
就任発表から一夜明けた9日のオンライン会見で、岩政監督が発した言葉がチーム内のモチベーションを上げた。補強戦略を問われた新指揮官は、強化部に対して「リクエストはいっさいしていない」と明言。その上でこう続けている。
「まずは選手たちがいま持っている個性を引き出す環境を整えた上で、それでもダメだった場合に補強する、というのが正しい順番。それをしていない段階で誰かを取るべきだというのは、現場の人間としてあるべき姿ではないと思っている」