鹿島アントラーズは岩政新監督で何がどう変わったか…湘南戦で手痛いドロー
湘南戦の具体的な反省点をあげれば、ロングボールを蹴る相手選手にプレッシャーをかけられず、こぼれ球をマイボールにする上での予測や反応も後手に回り続けた点となる。後半開始からはキム・ミンテが最終ラインに入り、センターバックから一列前のボランチに回った三竿がセカンドボールの回収役を担った。
こうした対処法をベンチの指示待ちではなく、選手たちが臨機応変に対応し状況を変えなければいけないとわかっているからこそ、三竿はさらに厳しい言葉を紡いだ。
「常に考えてプレーしているけど、それが(鈴木)優磨や僕だけだときつい。ウチは真面目な選手が多いけど、嫌らしさというか、相手にとって嫌なプレーとは何なのかを常に考えながらプレーしないと、いまの時代のサッカーでは勝てない」
決して現状を否定しているわけではない。累積警告による出場停止で福岡戦を欠場し、ピッチの外から勝利を見届けた三竿は、鹿島が変わっていくと確信を抱いたからこそ、岩政体制下で進んでいくべき道を明確に見すえている。
「いろいろな戦術ややり方があるいまは、非常に難しい時代になっている。それを打破するために(岩政)大樹さんはいま、いろいろな考え方を僕たちに落とし込んでくれているし、その上でどう判断するのか、というのが僕たちに委ねられている。鹿島が変わろうとしているなかで、ダメだった今日の試合からみんなでどのように修正していけるかが、これからの結果につながってくる。チャレンジャーとしてトライしていきたい」
2位に浮上していた鹿島は、勝ち点44で並ぶサンフレッチェ広島に得失点差で後塵を拝する3位に後退した。27日の次節では鹿島に続く3連覇の可能性を持つ川崎フロンターレのホーム、等々力陸上競技場に乗り込む。
4位の川崎との勝ち点差は1ポイント。しかし、川崎の消化試合数が3つも少ない状況を考えれば、タイトル奪回へ向けて生きるか死ぬかの正念場となる。
「湘南が自分たちにやってきたことを川崎はやってこない。そこは別の試合になるが、攻撃の部分で、自分たちの絵がそろわないときにどのようなきっかけで見つけていけばいいのか。この点に関しては、まだまだやらなければいけないことがあると感じた。強い相手の川崎に対して、それが見えるように1週間準備していきたい」
岩政監督がさらに異なるアプローチを思い描けば、現状を「弱いチーム」と喝破した鈴木は「あとは選手の熱量次第。課題は明確だと思う」と努めて前を向いた。変化を遂げながら勝利も求める。二兎を追う鹿島の新たな戦いがいよいよ加速していく。
(文責・藤江直人/スポーツライター)