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オールブラックスに日本代表は31-38で敗れたが過去最少失点差に迫る大善戦を見せた。(写真・AP/アフロ)
オールブラックスに日本代表は31-38で敗れたが過去最少失点差に迫る大善戦を見せた。(写真・AP/アフロ)

なぜラグビー日本代表はW杯3度Vオールブラックスを相手に過去最少失点差に迫る大善戦を演じることができたのか?

ラグビーの日本代表対ニュージーランド代表(オールブラックス)戦が、10月29日、東京・国立競技場で改築後最多となる65188人を集めて行われ、日本代表は31―38で惜敗した。
 テストマッチ(代表戦)は結果がすべて。スコア上は大善戦だったとしても、喜ぶ日本代表の選手はほぼ皆無だった。フッカーの坂手淳史主将は「悔しい」と繰り返した。
「いいゲームをしたかな、とも思いますけど、勝てないと、結果を出さないと…」
 ただし試合を振り返れば、序盤に3―21と点差をつけられながらも終盤には31―34まで追い上げていた。来秋のW杯フランス大会での成功を目指す日本代表が、最上級の手応えを掴み、貴重な課題を持ち帰れたのも確かだろう。

 2019年のW杯日本大会で初めて8強入りの日本代表が、ワールドカップ(W杯)過去3度優勝のオールブラックスを過去最少点差まで追い詰めた。その要因には試合の「前提条件」に加え、日本代表自体の「マインドセット」、「スマートなハードワーク」が挙げられる。
「前提条件」とは、この試合に至るプロセスのことだ。
 欧州遠征を控えるオールブラックスがこの日を今秋の初戦としていたのに対し、日本代表は、9月上旬からの候補合宿、10月の対オーストラリアAの強化試合(非テストマッチ)を経て芝に立っていた。反復練習と共同生活で組織を熟成させるのは、日本代表の伝統。日本大会の直前期にも、猛練習で逞しさとプレースタイルを育んできた。
 坂手は今回、「この(試合直前の)1週間だけではなく、約6週間、積み上げてきた。勝つと思って戦いました」。かたやオールブラックスのイアン・フォスターヘッドコーチは、空中戦のラインアウト、キック処理などで手こずった自軍を見てこう総括した。
「前の試合を終えてから約5週間も経っていて、タイミングを合わせるプレーでうまくいかないことがありました。ラインアウト、さらに防御で相手を読むというところがそうです」

 オールブラックスは、終盤こそ112キャップ(テストマッチ出場数)を誇るアーロン・スミスの絶妙な試合運びで逃げ切りに成功も、経験の浅い選手を数多く起用していた。20キャップ以下の選手の数は、23名中11名。選手層拡大に着手する日本代表より4名少ないだけだった。試験的な選手起用も匂わせていた。

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