トライアウトでアピール成功は誰?…元ヤクルト編成部長のノムさん“右腕”が選んだ2人と巨人の井納、桜井の評価とは?
可能性は薄いが、気になったのは楽天の育成契約の内野手、吉持だという。2015年に大商大からドラフト2位で楽天に入団したが、ルーキーイヤーを除きほぼファーム暮らし。故障などの影響で2019年から育成契約となり今オフに戦力外となったが、この日は、死球で出塁すると、二盗、三盗(アウト)を試みて、最後の打席では同僚の石田駿(25)の149キロのストレートをライト前へ弾き返した。
「小粒だが、足があり、スライディングスピードも速く、スイングスピードもある。ロッテの荻野のイメージに重なる」
また「ノビシロ、可能性」という点でソフトバンクの真砂、黒瀬の2人もリストアップした。
「2人とも共通点は、スイングスピードがあるのにストレートに差し込まれるという点。左肩が入りすぎるのが原因で、これは修正可能な部分だ。おそらくチーム内競争の激しいソフトバンクでは、その修正に手をつけてもらえなかったのだろう。野村さんは、こういう選手を好んで再生していた。余裕のあるチームであれば声がかかるかも」
真砂は、その身体能力の高さからチームの主砲の柳田悠岐の「ギータ」をもじった「ミギータ」の愛称で呼ばれ、昨年は自己最多となる79試合に出場していたが、今季は29試合出場に留まり、1軍に定着できなかった。
松井氏は、ヤクルトの編成担当、編成部長時代に、トライアウトを何度も視察してきた。その経験を元にこう総括した。
「全球団が各選手のデータをすでに持っている。それでもトライアウトに出ていくのは、故障明けの選手の状況判断と、判断が難しい選手などの最終チェックのためで、よほどのことがない限り、トライアウトで目についたことで評価が変わることはない。ここ数年は欲しい選手には先に声をかけて逆にトライアウトに出させないようにするケースも増えている。今回もここから契約に至るのは、左腕の渡辺を最有力に多くて2人くらいだろう」
ちなみに昨年のトライアウトで契約に至ったのは、新庄剛志監督が直接足を運んだ日本ハムが、巨人の古川侑利投手(27)と育成契約を結んだ1例のみ。狭き門をくぐり抜けるのは誰になるのか。獲得希望球団は5日以内に本人に通知する運びとなっている。(文責・RONSPO編集部)