サプライズ招集もあったスペインは“最強”バルセロナから7人…エンリケ監督「久保に代表されるように日本には我々を困難に陥れる選手がいる」
スペインサッカー連盟は11日、カタールW杯に臨む同国代表メンバー26人を発表した。ルイス・エンリケ監督(52)は、“最強”バルセロナから7人を選び、最後の26人目で久保建英(21、現レアル・ソシエダ)のカンテラ時代の“親友”であるFWアンス・ファティ(20、バルセロナ)をサプライズ招集した。日本とは第3戦で対戦するが、エンリケ監督は「日本は常に成長しているチーム。簡単な試合にならない」と警戒を強めた。
ファティの選出にメディアの質問が集中
黒いジャケットの下に紺色の襟なしシャツ。さらにヘッドセットマイク姿のエンリケ監督がショーアップされた舞台の中央で、重厚なBGMに合わせて名前を一人ずつ読み上げていく。
派手なスタイルとは対照的に、ほとんど波乱がないまま進められていったカタールW杯に臨むスペイン代表メンバーの発表会見。最後の26人目、ポジションが「DELANTEROS(ストライカー)」に移ってからは8人目で、唯一といっていいサプライズが待っていた。
指揮官が読み上げた「アンス・ファティ」が最後に代表でプレーしたのは、2020年10月13日のウクライナ代表とのネーションズリーグ2020-21第4節までさかのぼる。
今年6月に行われたネーションズリーグ2022-23で復帰するも、ファティは4試合で一度もピッチに立たなかった。スイス、ポルトガル両代表と対戦した9月シリーズで再びファティを選外とした理由を、エンリケ監督はバルセロナでの出場状況に帰結させていた。
「アンスが今シーズンで先発出場した試合は、ここ(9月)までで一度だけだ。それが何が問題なのかを物語っている。現時点で代表メンバーに入る状態にあるとは思えない」
一転してラ・リーガ1部が再開された10月以降の軌跡を見れば、ファティは12試合すべてでピッチに立ってきた。そのうち先発は4度を数え、今月1日のFCヴィクトリア・プルゼニ(チェコ)とのUEFAチャンピオンズリーグではフル出場を果たしている。
状況的にはバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、インテル・ミラノ(イタリア)の後塵を大きく拝する形で、バルセロナのグループリーグ敗退が決まっていた“消化試合”だった。それでも今シーズンで一度もなかったフル出場をもって、指揮官のなかでGOサインが出たのだろう。
スペイン紙『AS』は、エンリケ監督との質疑応答を速報で伝えている。サプライズとして受け止められたファティに関して、メディアから質問が集中した。指揮官は「最後の1秒まで迷った」と本音を明かしながら、20歳になったばかりのアタッカーへの期待をこう語った。
「アンスのことはよくわかっている。だから他の選手よりも私は彼に賭けた。アンスのレベルは疑う余地もないし、彼は困難なプロセスをへて、怪我をする前の状態に戻る途上にある。最近の彼のトレーニングを見ていると、いま遂げている変化が本物なのかどうかがわかる。カタールでの戦いは彼に大きな刺激になるはずだし、私はそこで彼のベストを見つけたい」