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中日立浪監督が決断したと見られる阿部ー涌井のトレードに賛否の声が巻き起こった(写真・黒田史夫)
中日立浪監督が決断したと見られる阿部ー涌井のトレードに賛否の声が巻き起こった(写真・黒田史夫)

中日阿部と楽天涌井のトレードに賛否?!立浪監督が決断した“星野流”世代交代は正解か、それとも大失敗か…

 中日の阿部寿樹内野手(32)と楽天の涌井秀章投手(36)の1対1トレードが15日、成立し両球団から発表された。右の内野手が不足していた楽天にしてみれば、絶好の補強となったが、打線強化がテーマの中日が、ビシエドに次ぐチーム2位の打点を叩き出している阿部を放出して弱点でもない先発投手を強化したトレードには疑問符がつく。SNS上でも一部のドラファンから困惑の声が聞かれた。ただ一方で立浪和義監督が決断したと見られる故・星野仙一監督方式の大胆な血の入れ替えに期待する意見もある。トレードの成否の答え合わせは、来季の中日のチーム成績次第。中日が決断した若手切り替え策は果たして…。

打線強化がテーマの中日がチーム打点2位の阿部を放出

 球界に衝撃が走った。
 今季のチーム得点414、チーム本塁打62がいずれもリーグワーストで、不振を極めた打線の強化が最下位脱出に向け最大のテーマだったはずの中日が133試合に出場してビシエドの63打点に次ぐチーム2位の57打点をあげて打率.270、9本塁打、チーム最多の31本の二塁打をマークした“マスター”阿部を放出したのだ。しかも交換相手が阿部よりも4歳年上となる36歳の涌井。 
 楽天への移籍初年度となった2020年には11勝4敗で自身4度目となる最多勝タイトルを獲得し、2021年には、開幕投手にも選ばれたが、今季は5月に右手中指を骨折するアクシデントもあり、キャリアワーストの10試合登板に留まり、4勝3敗、防御率3.54の成績に終わっている。ローテーの一角を担ったというより、どちらかと言えば岐路に立たされている元エースである。
 SNS上では、一部のドラファンの間から、このトレードに困惑の声が聞かれ、賛否両論が巻き起こった。
 セ・リーグの某大物評論家も、疑問を投げかけた。
「得点力の強化が戦力補強のテーマである中日が最も信頼度の高い阿部を放出して、しかも、足りないわけではない先発陣にベテランの涌井を補強した意図はわかり辛い。ドラフトで即戦力の内野手を4人も獲得していたので若手への世代交代を推し進めたいのかもしれないが、阿部はまだ32歳。ベテランではなく中堅クラスの選手だ。勝負どころで確実に逆方向へのヒットを放つことのできる阿部の粘り強いバッティングは、相手バッテリーには嫌な存在だし、打線を点から線に変える重要な役柄を担えるバッター。いわゆる絶対に外してはならない選手だけに理解に苦しむ」
 中日は今ドラフトで4人もの即戦力内野手を獲得した。2位で実戦派として評価の高かった明大の村松開人、5位で俊足好打に加え内外野を守れるユーティリティープレーヤーの福井ネクサスエレファンツの濱将乃介、6位で大学野球界屈指のスピードスターとして評判だった亜細亜大の田中幹也、そして7位で日本新薬の福永裕基まで獲得した。二塁、三塁、一塁を守れる福永は、社会人らしい堅実な守備に加え、長打力も兼ね備え、他の3人とは特色の違う内野手だ。
 今季終盤にショートで起用されて存在感を示した2年目の19歳、土田龍空に、故障からの回復が待たれる石川昂弥など、若手の内野手に期待株が揃っているため、フロントの編成に強い影響力を持つとされる立浪監督も、最終的に思い切った決断をしたのかもしれない。だが、新人は未知数。キャンプ、オープン戦の様子を見てから緊急トレードに動いても遅くはなかっただろう。

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