明日メジャーMVP発表！大谷翔平は本当に不利なのか…”大本命”ジャッジとのMVP争いの行方をもう一度考察してみた

　ジャッジは、62本塁打に目が向けられがちだが、その他の数字も軒並みトップ。三冠王は、打率.316で首位打者を獲得したルイス・アラエス（ツインズ）に阻まれたが、きれいに（1）が並ぶ。
　本塁打は2位のマイク・トラウト（エンゼルス）が40本。22本の差は、今季のジャッジがいかに突出していたかを裏付ける。

　とはいえ、大谷の打撃成績も、ほとんどがトップ5と非凡。しかも、彼の場合、ここに投手成績が加わり、その数字も多くがトップ5にランクインしている。残念ながら、サイ・ヤング賞のファイナリストの3人には入らなかったが、過去30回以上、MVPの投票を行っている米全国紙「USA TODAY」のボブ・ナイチンゲール記者は、「投票権があるなら、ジャッジに投票する」と公言しているが、「トータルの数字なら大谷の方が上。いま、リーグのベストプレイヤーは、大谷」と明言する。

「しかし、MVPはベストプレイヤー投票ではない」
　ここがややこしい。「単純にベストプレイヤーでいいのでは？」と主張するメディアもあるが、投票に定義はない。何を重視するか。基準は投票権を持つ記者に委ねられている。
　今回、過去に投票したことのある記者に評価基準を聞いたが、やはり価値観は様々だ。まとめるとざっと以下のような6つの項目になる。

　①個人成績（プレッシャー下で結果を残したかどうか含む）、②チーム成績／勝利貢献度、③歴史的偉業、④チームリーダー的な存在感、⑤打撃、守備、走塁など年間通じてのトータルバランス（出場試合数含む）、⑥インパクト（リーグ全体の人気向上に貢献）

　個人成績については、すでに触れた。チーム成績に関してはジャッジが優位だが、貢献度という角度ではエンゼルスの広報がこんなデータを示している。
「7月9日から9月3日まで、ジャッジは打率.321、22本塁打、50打点、38四球、出塁率.460、長打率.856、OPS1.216だったが、チームは18勝31敗で、ア・リーグではタイガースに続いて悪い勝率だった」
　ジャッジの活躍は、必ずしもチームの勝利に結びついていないというわけである。

　一方の大谷。エンゼルスは6、7月に苦しんだが、大谷がことごとく連敗を止めた。
　6月9日に14連敗を止めた。16日の先発では3連敗、22日は2連敗、7月6日は4連敗、13日は5連敗をそれぞれ止めている。6月29日も敗戦の翌日に登板し、勝ちをもたらした。ちなみに6月21日のロイヤルズ戦では、延長で敗れたものの、九回に同点3ランを放つなど8打点をマーク。翌22日は8回を投げて2安打、無失点、13奪三振の快投だった。

　もちろん、いずれも都合よく期間を切り取っただけではあるが、投手・大谷がいなければ、エンゼルスはどれだけ負けていたか。ジャッジの数字は、地区優勝を争う中、よりプレッシャーを感じながら残したものだから価値があるーーとの見方があるが、大谷が感じていたプレッシャーも決して小さくない。