W杯最終テストでカナダに逆転負けの森保Jは本当に大丈夫なのか…セットプレーの課題と柴崎ー相馬が示した存在感
4人だけではない。板倉と組むセンターバックに谷口、左サイドバックに伊藤洋輝(23、シュツットガルト)、トップ下に南野拓実(27、モナコ)、右サイドハーフに相馬をそれぞれ起用。出場機会から遠ざかっていた選手や、代表経験が少ない選手が前半のピッチに立った。
迎えた前半8分。代表メンバーの最後の26人目という形で滑り込んだ相馬が大仕事を成し遂げる。右サイドから斜め左へ思い切りよくスプリント。カナダの最終ラインの裏へ抜け出し、柴崎が供給した浮き球の縦パスに宙を舞いながら、必死に伸ばした右足をかすらせた。
わずかにコースを変えたボールが、ゴール右隅へ吸い込まれる。代表通算4ゴール目。ヨーロッパ組を含めた陣容では初めて決めた一撃に、試合後は言葉を弾ませた。
「相手の背後の部分を狙っていけたら、とずっと思っていたので、それが最初のプレーで得点につながってよかったです。(柴崎)岳さんの特長はわかっていたし、試合前から『狙います』といった話をしていたので、あのような形でマッチできてよかったです」
右サイドでのプレー経験がないわけではない。それでも、名古屋では主に左ウイングバックでプレーしているだけに、キックオフ直後はわずかながら違和感を覚えた。
「左サイドとはボールを受ける角度や体の向きが違うので、タッチとかがちょっと合わなかった部分がありましたけど、やっていくうちに少しずつ慣れてきました」
後半開始からは主戦場の左サイドハーフでプレー。吉田の投入とともに3バックにスイッチした同40分からは堂安律(24、フライブルク)とともにダブルシャドーを形成し、フル出場を果たしたカナダ戦を個人として、そしてチームとしての観点から相馬は振り返った。
「グランパスでシャドーも何回かプレーしているので、任されたポジションで役割を果たそうと思っていました。どの選手も最初は経験がなくて、時間の経過とともに積んでいくものだと思うので。こういう形なら得点を狙えるというのがわかったのは収穫ですけど、やっぱり試合をしっかり締めるという部分で、これが大会本番だったら、ということもあるので」
ゴールだけではない。左右両方でプレーできるユーティリティーさと攻守における豊富な運動量、球際でのアグレッシブさを含めて、相馬はカナダ戦における収穫のひとつとなる。
相馬のゴールを導いた柴崎の縦パスも秀逸だった。田中の縦パスを南野が一度落とし、ひと呼吸置いてから、敵陣に少し入った位置からピンポイントの浮き球を供給した。すぐに縦パスを出していれば浅野が戻りオフサイドになっていたし、相馬のスプリントも間に合わなかった。
「ああいうショートカウンター気味の攻撃は日本の武器になると思いますし、(相馬)勇紀が上手く抜け出してくれて、僕のパスを上手く引き出してくれた。難しいボールだったと思いますけど、すごくいい動き出しから、よく決めてくれたと思っています」