明日W杯運命のスペイン戦…遠藤欠場濃厚の緊急事態に鎌田ボランチ起用の秘策はあるのか…直球質問を受けた本人の答えは？

　しかし、スペインはルイス・エンリケ監督(52)のもとで、伝統のボールポゼッションにボールを失った直後の即時奪回も融合させた。だからこそ、いい守備からいい攻撃へ移行する際には、スピードだけでなくプレーの正確性も求められると鎌田は指摘する。
「ボールを失ってからのスペインの攻守の切り替えは、ものすごく早い。なので、ボールを奪った後にワンタッチ、ツータッチで素早くプレーの判断を下さないと、再びボールを失ってしまう。日本はドイツ戦でもコスタリカ戦でも、ボールを奪ってから2つ目のパスがずれるケースが多かった。逆にここを上手くできれば、一気にひっくり返せるシーンがたくさん出てくると思う」
　日本とスペインの対戦は過去に一度しかない。トルシエジャパン時代の2001年4月の国際親善試合。スペインのパスワークに対して、日本は徹底的に守備を固める戦法で食い下がるも0－1で敗れた。あえて防戦一方の戦いを選んだ姿勢は、当時のメディアに「未来なき善戦」と報じられた。
　W杯の舞台で2度目の対決を迎える今回も、日本としてはともに無得点の時間帯をできるだけ長引かせた上で、カウンターを中心に乾坤一擲の攻撃を仕掛けてゴールを奪いにいきたい。しかし、守備のブロックを形成し、引いて守りながら耐え忍ぶのかといえば答えはノーとなる。
　U-24日本代表の「10番」を背負い、昨夏の東京五輪準決勝で銀メダル以上をかけてU-24スペイン代表と対戦。0－0で迎えた延長戦の終了間際に先制点を奪われ、そのまま敗れた苦い経験を生かすようにMF堂安律（24、フライブルク）は「違った戦いでいった方がいい」とこう続ける。
「スペインにちょっとボールを持たれすぎた印象があるし、そのまま延長戦に入って日本が力尽きてやられてしまった。いいイメージがないので、まったく変えてもいいんじゃないかとは個人的には思っている。もちろん、チームとしていろいろと話し合っている最中ですけど」
　ボールポゼッションで圧倒され続けた東京五輪では、日本が守備のブロックを形成しても、わずかな隙間へパスを通され続けた。21年前も同じ展開だったが、相手の攻撃にさらされ続ければ、その分だけ体力を削がれる。いざ攻撃に転じたときに、チーム全体がガス欠に陥ってしまう。
　この日の練習ではドイツ戦で古傷でもある右太もも裏を痛め、コスタリカ戦欠場を余儀なくされたDF冨安健洋（24、アーセナル）が復帰。右から冨安、板倉滉（25、ボルシアMG）、吉田麻也（34、シャルケ04）、そして長友佑都（36、FC東京）で組む最終ラインも可能になった。