なぜ “問題児“カシメロと赤穂亮との世界前哨戦は“反則パンチ”による無効試合となったのか…熱望する井上尚弥戦がまたまた遠のく?!
試合後、カシメロは、WOWOWのインタビューに答え、「すでに1ラウンドでダメージを与えていた。彼の後頭部を狙って打ったわけではない。テンプルにもアゴにも当てている。映像をよく見て下さい。何も嘘もないことがわかるはずだ」と、故意ではなく“無罪”を強調した。
横浜光ジムの石井会長も「2ラウンド目でカシメロ選手の後頭部へのパンチがあったにせよ、赤穂が招いた部分もあったので。正直、ノーコンテストというのは…」と言う。
実際、両コミッションは、故意ではなく、あくまでも不可抗力による反則パンチであるという判断でカシメロを反則負けにはしなかった。赤穂がラビットパンチ以外のパンチで相当のダメージを受けていたのも事実。
「日本人レフェリーでなければ続行させて、カシメロがKO勝ちしていたのでは?」との批判の声もある。
だが、世界のレフェリングの流れとしては「危険なラビットパンチを見逃さず厳密にチェックしていこう」という傾向にあり、染谷レフェリー及び、日韓両コミッションの下した判断は間違っていない。
伊藤氏も「赤穂さん寄りの判断という意見は心外」と声をあげた。
試合後、赤穂は「体調は普通に戻っている。頭は大丈夫です」と、体に異常がないことを明かし、「向こうは2ラウンドで勝負をかけてきましたね。もっとちょっと冷静にやれば良かったですね」と、2ラウンドを振り返り、ラビットパンチについては「あれが(カシメロの)プロフェッショナルなのでしょうね。なりふり構わず打ってくるという」と受け止めた。
カシメロのワンランク上のスピードとパンチ力が赤穂を圧倒していたが、「カシメロ?あんなものじゃないですかね。思ったより踏み込みが早いとかパンチがあるとかいう感じではなかったですね」と言い、仕上げてきたカシメロのコンディショニングを称えた。
カシメロとの再戦も要求しなかった。
「今は何もないですね。ここまで悔いなく作ってこれたので、もう1回やりたいとか、もういいとか、そういう感情がまずないですね…」
赤穂が言う。
「ボクシング人生はこんな感じすっよ、もう」
筋書きのないリアルスポーツゆえの予期せぬ結末ではあるが、なんとも言えないむなしさが先に立つ。ビッグネームのカシメロに勝って引き寄せたかった3度目の世界戦チャンスも見えなくなった。