W杯表彰式で着させられ物議を呼んだメッシの伝統衣装「ビシュト」をオマーン国会議員が「1億3200万円で譲って」と驚愕打診

　FIFAワールドカップ・カタール大会の表彰式で優勝したアルゼンチン代表の主将リオネル・メッシ（35）がカタールのタミル首長から贈られて記念写真に納まり、物議を醸すことになった伝統衣装「ビシュト」を巡ってまさかの新展開があった。オマーンの国会議員で弁護士でもあるアフメド・アル・バルワニ氏（41）が「100万ドル（約1億3200万円）で譲って欲しい」とツイッターで申し入れたのだ。アラブ首長国連邦のメディア「ザ・ナショナル」が伝えたもの。今のところメッシからの返信はないというが…。

　「“私たちには何でもできるんだ”ということを思い出させるために展示したい」

　中東、アラブ以外の世界中のサッカーファンから「何あれ？」「なぜ着せた」と疑問を投げかけられたメッシが表彰式で羽織った“黒いシースルーマント”問題。主将のメッシがW杯トロフィーを授与される最大のクライマックスを前にプレゼンターとして壇上にいたカタールのタミル首長から伝統衣装「ビシュト」を着せられ、歓喜の記念写真を撮ったである。
　過去のW杯では、1970年のメキシコ大会で優勝したブラジルのペレが地元の民族帽子「ソンブレロ」を贈られたことがあるが、前代未聞のシーン。
「ビシュト」は、中東、アラブの結婚式や特別な儀式で着用する伝統衣装だが、政府の高官や聖職者が使用することから王族の衣装として知られるもの。ある意味、権力を象徴する衣装でもあったため、西側諸国から「カタール政権のPRツールとして意図されていると感じた」（英・デイリーメール紙）などの批判の声が起き“大論争”になった。
　その「ビシュト」問題が新たな展開を迎えた。
　オマーンの国会議員で弁護士のアル・バルワニ氏がツイッターに「友人のメッシさん。オマーンの国からW杯2022での優勝を祝福します。騎士道と知恵の象徴であるアラビアのビシュト。もし譲っていただけるなら私はあなたに100万ドル(約1億3200万円)を出します」と投稿。
　物議を醸した「ビシュト」を約1億3200万円という驚きの金額で譲って欲しいと申し入れたのである。
　なぜ「メッシのビシュト」をそんな高額で手に入れたいのか。
　アラブ首長国連邦のメディア「ザ・ナショナル」によると、アル・バルワニ氏は、PK戦にもつれこんだアルゼンチン代表対フランス代表の決勝戦を現地のスタジアムで生観戦。表彰式でメッシがカタールの首長から「ビシュト」を贈られ、それを着てW杯トロフィーを受け取り、チーム全員で喜びを爆発させていた瞬間を、その場で見ていたという。

　同氏は、インタビューに答え「（メッシがビシュトを着た）あの瞬間、私たちがここにいることを世界に伝えました。これは私たちの文化です、今大会は、私たちの誇りの源であり、パレスチナを忘れなかったこと、そしてアラブ人が一つに団結しているという重要な事実を浮き彫りにしました」と、メッシが表彰式という大会のハイライトで「ビシュト」を着たことの意味を説明した。
　同氏が定義する「ビシュト」は、「知恵、勇気、誠実さ、寛大さ、信頼を含む多くのものの象徴であり、最も重要なことは、それが私たちが何ものなのかを伝えるもの」だという。
　さらにアル・バルワニ氏は、W杯カタール大会の成功が、アラブ諸国にとって大きな意味を持つと強調。ベスト4に進出したモロッコの快進撃を称賛した。アル・バルワニ氏は、メッシとの取引に成功すれば、その「ビシュト」を着用するのではなく、記念展示する考えで、その理由をこう語った。
「この誇りの瞬間を記念して、それを追体験できるように。また“私たちは何でもできるんだ”ということを思い出させるために展示したい」
　同氏は、もしメッシが交渉に応じてくれれば、約1億3200万円の金額をさらに上乗せする考えもあるという。
「ザ・ナショナル」を引用して記事にしたスペインのスポーツ紙「マルカ」によると「今のところアルゼンチン人(メッシ）からは何の返答もない」というのだが…。
　メッシの熱狂的なファンが熱望したのであれば、単純に驚きの「メッシフィーバー」の1ページで済むのだろう。だが、オマーンの国会議員でもあるアル・バルワニ氏が、「ビシュト」を求める裏には、政治的な意図がありそうで、もしメッシが交渉に応じて、同氏に約1億3200万円で譲り「W杯カタール大会の表彰式でメッシが着たビシュト」として展示されることになれば、大きな波紋を呼ぶことになるだろう。今後の展開に注目される。
（文責・RONSPO編集部）