2度目のドラフトを待つ“ヤクルト村上宗隆を三振に斬った男”…東京ガスの153Km右腕・益田武尚の評価が急浮上!
いよいよ2日後に迫ったドラフト会議で、上位指名の可能性がある注目の社会人右腕がいる。東京ガスの益田武尚投手(24)だ。最速153キロ。クライマックスシリーズ・ファイナルステージの直前に行われたヤクルトとの練習試合で、今季日本選手のシーズン最多本塁打記録となる56号をマークした村上宗隆(22)から三振を奪い、さらに注目度がアップした。2年前の北九州市立大4年時には“指名漏れ”した益田は、「ドラフト1位でプロにいきたい」と運命の日を心待ちにしている。
148キロのストレートに村上が振り遅れた
10月8日。CSを前にした神宮球場のネット裏が異様な熱気に包まれていた。
セ・リーグ連覇を果たしたヤクルトのCS前の調整試合として昨年の都市対抗覇者・東京ガスとの練習試合が組まれ、計11球団22人のスカウトが顔を揃えた。お目当ては、東京ガスの先発の益田。ヤクルトの小川GMも熱視線を送っていた。
益田の父親の和毅さんは、地元・福岡の公立校(嘉穂東高)で硬式野球部の監督をしているが、立命館大野球部出身で、元ヤクルトの“名捕手”古田敦也氏とバッテリーを組んでいた。その古田氏が現役時代に本拠地としていた神宮で、益田がドラフト直前にヤクルトを相手に投げるのも何かの奇縁かもしれない。
果たして、この日のハイライトは、初回1死一、二塁のピンチの場面で訪れた。「村神様」こと、4番・村上との対決だった。
変化球が2球外れてボールが先行したが、動揺はない。自慢の真っ直ぐで押した。3球目。球威ある直球に差し込まれたのか、村上はバックネット方向へファウルを打ち上げる。4球目。145キロ直球に振り遅れ、2―2と平行カウントに持ち込んだ。5球目。益田が決めにいった、この日最速の149キロ直球が高めに外れ、フルカウントに。6球目も直球が再びバックネット方向へのファウルとなり、”史上最年少三冠王”にまともなスイングをさせない。
最後は、益田渾身の外角高め148キロの直球に振り遅れ、そのバットは空を切った。ドラフト候補が、日本を代表する4番打者を三振に打ち取り、ネット裏のスカウトがざわつく。
続くオスナも外角148キロ直球で見逃しの三振。セ・リーグ連覇の主軸を力でねじ伏せた。益田は3回で降板。4安打3奪三振1失点の内容で、ドラフト直前のデモンストレーションを終えた。
村上との対決を振り返り「(同じ九州とはいえ、村上とは)高校時代も対決したことがなく、相手は初見だったので…これがシーズン中だったらどうだったか?と、考えてしまう…」などと前置きしつつも、「空振り三振が取れたことは、自信になった」と胸を張った。
ただ、村上の印象を聞かれ「とにかくデカい(笑)。甘くいったらやられると思った(苦笑)」と本音を漏らした。
そして「プロとの対決にワクワクと、自分の投球がどこまで通用するのか、不安と緊張があった。社会人とはスイングスピードが全然違ったけど、真っ直ぐと、カットボール、フォークで空振りを奪えたのが収穫。もっと精度を上げていきたい」と手応えを口にした。
パ・リーグの某幹部スカウトは、「ストレートはナチュラルにシュート回転するが、伸びのあるのが特徴。上位で消えるのは間違いない」などと、太鼓判を押した。
175センチ、85キロと上背はないが、最速153キロのストレートに加え、スライダー、カットボール、スプリット、カーブにツーシームなど、変化球も多彩に操る。スプリットは140キロの高速で、東京ガスOBのオリックス・山岡泰輔の社会人時代よりもスケールは大きいとの評価がある。
セ・リーグの某監督は、益田について「社会人で即戦力と評価しているのは、東芝の吉村貢司郎と益田の2人。もしかしたら単独1位、外れ1位では消えると思う」と断言した。