“強豪”青森山田高の黒田剛監督を新監督に招聘したJ2町田のサプライズ人事は成功するのか…「培った勝利のメンテリティはどのカテゴリーでも失われない」
「皆様の想いは『J1昇格への道』にあると思っています。クラブ・選手・スタッフが一丸となり『夢(J1昇格)実現』のために、自分自身の全てをチームに還元し、ファン・サポーターの皆さまと一緒に喜びを分かち合う瞬間の実現を心から願っています」
黒田氏の挑戦は、ポジティブなメッセージとなって発信される。
制度上ではS級コーチライセンスを取得していれば、Jクラブの監督を務められる。さらにライセンス自体は、プロ選手としての経験がなくても取得できる。しかし、S級コーチライセンス取得者のなかで監督を務めているのは、ほとんどが元プロ選手となっている。
例外が先のYBCルヴァンカップで準優勝したセレッソ大阪の小菊昭雄監督(47)であり、来シーズンのJ1昇格を決めている横浜FCの四方田修平監督(49)となる。
小菊監督のセレッソにおける最初のキャリアは、下部組織コーチのアルバイトだった。叩き上げとして実績を積みながら、昨夏からトップチームの指揮を任された。順天堂大時代に指導者を志した四方田監督は筑波大大学院でコーチ学を学び、日本代表のスカウティング担当などをへて2015シーズンにJ1の北海道コンサドーレ札幌監督に就任。今シーズンから横浜FCを率いている。
現役時代のキャリアだけでなく、指導者として歩んできた実績が評価される。Jクラブの監督へと通じるルートがさらに大きく広がっていく意味でも、高校サッカー界からダイレクトで転身する黒田氏の成否を注目するアマチュア指導者は少なくないはずだ。
プロ指揮官として新たな一歩を踏み出す前の黒田監督に率いられる青森山田高は、12月28日開幕の第101回全国高校サッカー選手権での26大会連続28度目の出場と、2大会連続4度目の日本一を目指して、向陵高と対戦する11月3日の準決勝から青森県大会に登場する。
(文責・藤江直人/スポーツライター)