RIZINvsベラトールの全面対抗戦の先に「格闘技W杯構想」
総合格闘技イベント「RIZIN」の榊原信行CEOと米格闘技団体「Bellator(ベラトール)」のスコット・コーカー代表が26日、六本木ヒルズアリーナで屋外会見を開き、大晦日にさいたまスーパーアリーナで開催の「RIZIN.40」でRIZINとベラトールのオールスターによる全面対抗戦を行うと発表した。対抗戦は全5試合となる予定で、この日はフライ級、バンタム級、フェザー級、ライト級の4カードが発表され、RIZINバンタム級王者の堀口恭司(32、ATT)、ベラトールの現役フェザー級王者のパトリシオ・ピットブル(35、ブラジル)、元同級王者のAJ・マッキー(27、米国)ら出場8選手が会見に出席した。榊原CEOは、ベラトールとの対抗戦を定期的に開催し、将来的に世界の団体のトップ選手が集う「格闘技W杯」を開催したいという壮大な構想を明かした。
堀口「RIZINを裏切る形になって申し訳ない」
まさに格闘ファンにとって夢のカードだ。UFCに次ぐ世界最高峰格闘団体ベラトールの現役王者、元王者の4人が揃って参戦、RIZINの2人の王者を含むRIZIN代表の4人と大晦日に激突するのだ。
榊原CEOも興奮気味に「MMAの歴史を変える。未来へ向けての大切なムーブメントを起こす発表」と語った。
RIZINバンタム級王者で、元ベラトール王者でもある堀口は、現在契約を結んでいるベラトール側からの参戦となる。
ひとつ階級を下げることを要望していたフライ級で、過去に2戦2勝の扇久保博正(35、パラエストラ松戸)とのラバーマッチ。昨年のRIZINバンタム級トーナメントを制した扇久保は、事実上、堀口への挑戦権を得ていたが、9月25日の「RIZIN.38」でROAD FCフェザー級王者キム・スーチョル(30、韓国)に敗北。「もう堀口戦はないと思っていた」が、スーチョルには、今回RIZIN代表として、バンタム級で元ベラトール同級王者のフアン・アーチュレッタ(35、米国)との対戦カードが組まれたため、フライ級に落とすことを条件に扇久保に堀口戦のチャンスが巡ってきた。
「これも運命」と扇久保が言うと、堀口は笑って「絶対違う、絶対違う」と否定。
「なんかRIZINを裏切った形になってすみません。申し訳ない。対戦相手の扇久保選手とは3回目ということで“もう戦いたくない”と言わせるような試合をする」と完全決着を宣言した。そしてコーカー代表に「ベラトールにフライ級を作って下さい」と訴えた。
ドリームカードは、ベラトールの現役王者とビッグネームの元王者が出てくるフェザー級とライト級の2試合だろう。ベラトールのフェザー級の現役王者で、パウンドフォーパウンド1位に評価されているピットブルは、23日に牛久絢太郎に三角締めで1本勝ちしてRIZIN同級王者になったばかりのクレベル・コイケ(33、ボンサイ柔術)と対戦。この試合にはベルトはかけられないが、事実上の2団体統一戦だ。
ピットブルは打撃も寝技もクオリティの高い総合ファイターで、今年4月にベラトール18連勝の記録を持っていたAJ・マッキーから、判定でタイトルを奪い、10月には初防衛にも成功した。
ピットブルはベルトを肩にかけて会見に出席。
「子供の頃から(日本の)格闘技を見て育った。アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ、ヴァンダレイ・シウバ、マウリシオ・ショーグンらに憧れ、自分もいつか日本で戦いたいとずっと夢見てきた。それがついに現実になった」と語り、「クレベルもブラジルから来ている。互いの国を代表していい試合をして勝ちたい」と、余裕のコメントをした。
一方のクレベルは「ちょっと緊張。いい試合をしたい」と日本語で答えた。三角締めという“必殺技”を持つクレベルの寝技が、世界トップレベルのピットブルに通用するか。注目の一戦となる。