RIZINvsベラトールの全面対抗戦の先に「格闘技W杯構想」
そして、そのピットブルと激闘を演じてきた元王者のマッキーは、ライト級で、RIZIN同級王者のホベルト・サトシ・ソウザ(33、ボンサイ柔術)と対戦する。マッキーの父親のアントニオは、元UFC戦士で、日本のHERO’S、DREAMにも参戦、青木真也との対戦経験もあり日本とは不思議な縁がある。
昨年10月にはベラトールのライト級トーナメントで優勝。決勝戦ではピットブルをギロチンチョークに沈めたが、4月のリマッチで判定負けして王座から陥落するとライト級に転級。10月には4月の「RIZIN.35」で武田光司にフロントチョークで一本勝ちした元UFC戦士のスパイク・カーライル(米国)が体重超過しているにもかかわらず判定で勝ち再起に成功している。
一方のサトシ・ソウザも、現在RIZINで5連勝中。その柔術テクは、天下一品だ。格闘家とは思えぬ洒落た出で立ちで登場したマッキーは「間違いなく自分のキャリアの中で最高の柔術技術を持っている選手」と、サトシ・ソウザを称えた上で、こう凄みを効かせた。
「彼を相手に自分の実力を試すのを楽しみ。ゲージではなくリングで戦うこともそうだが、ルールが楽しみ。グラウンドのヒザやキックがOKなので自分の武器がさらに増えるから」
この試合もサトシ・ソウザのボンサイ柔術の技術がベラトールを代表するトップファイターの度肝を抜けば世界にその名が轟くことになる。
榊原CEOとコーカー会長は、両団体の勝ち負けがハッキリとする5対5マッチとすることで合意しており、RIZIN側は、ライト級の武田光司か、ヘビー級のスダリオ剛を出陣させたい考え。近日中に残り1カードが発表される。
そして、榊原CEOは、この全面対抗戦の先にあるビッグな構想を明かした。まずは「次は僕らがアメリカに出ていってベラトールのケージの中で彼らのル―ルにおいて対抗戦をするか、ホーム&アウエーで毎年いったりきたりするとか、2年に一回するとか」というタイミングやスパンでベラトールとの対抗戦を定期戦化した上で、将来的に団体の垣根を越えた戦いを世界中に広げていきたいというのだ。
「世界陸上や(サッカーの)ワールドカップなど他のメジャースポーツは定期的にピークを作っている。ゆくゆくは色んな団体との闘争につながっていけばいい。世界中の団体のチャンピオンが集うような(場所を作ることを)発信するためにトップアスリートが戦う機会を作ること(今回の対抗戦)が強いメッセージとなるだろう。アメリカメディアの反響もいい。総合格闘技の新しいムーブメントを団体内の順位決定戦を飛び出して作り上げればいい」
格闘技ワールドカップ構想である。
世界最高峰の格闘団体である「UFC」を巻き込まねば、この構想も「画竜点睛を欠く」になるが、榊原CEOは、今回の対抗戦が、そういう団体の垣根をとっぱらって、真の最強格闘家を決める大会を実現するための引き金になればと考えている。
その壮大な構想を実現するためにも大晦日のRIZINvsベラトールの全面対抗戦の結果と中身、そして盛り上がりが重要になってくる。
ちなみに榊原CEOは「RIZIN.40」では、ガチガチの勝負論で固めた、この対抗戦以外にも、大晦日イベントにふさわしいRIZINらしいサプライズカードを用意していることも明かしている。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)