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日本シリーズMVPには2度の決勝打を放ったオリックスの杉本が選ばれた(資料写真)
日本シリーズMVPには2度の決勝打を放ったオリックスの杉本が選ばれた(資料写真)

なぜオリックスは26年ぶり5度目の日本一を成し遂げたのか…村上の記録に残らないミスと中嶋監督が作った新時代の勝利方程式

 高代氏は中嶋監督の投手マネジメント術をこう評価した。
「第4戦で宇田川、山崎を回跨ぎで使うと、翌日の第5戦では迷うことなくベンチから外し移動日も含めた中2日の休養を与えて神宮決戦に備えた。ヤクルトの打順の巡りや相性、そして投手の調子を見極めながら、7投手のうちから使える4投手をチョイスして回していく。中嶋監督の鋭い洞察力から来る投手マネジメントだったと思う。阪神の岡田監督が、2005年に“JFK”を確立させて優勝し新しいスタイルを野球界に導入したが、今の時代は無理はさせられない。この中嶋方式が新時代の勝利方程式の形なのだろう」
 さらに高代氏は、その“中嶋マジック”を可能にしたフロントのチーム強化に注目した。
「私が2年前に阪神の2軍コーチをしていた頃から舞洲の球場にいくとオリックスの育成選手の多さが目についた。まだ荒っぽくて制球や細かい技術はないが、とにかくボールが速いという投手がゴロゴロいた。1、2年先ではなく、3、4年後に化ける可能性のある素材型の選手をドラフトの下位、育成ドラフトで集めて、育てていくという球団の姿勢と、スカウトの目利きの素晴らしさが、リーグ連覇と日本一を生んだ土台にあると思う」
 宇田川は仙台大から2020年の育成ドラフト3位、山崎颯は敦賀気比高から2016年のドラフト6位、阿部も日本生命から2020年のドラフト6位指名選手だ。理想的なチーム育成の形である。
 お立ち台で、最後にファンへのメッセージを求められた中嶋監督は、こんな言葉で優勝インタビューを締めた。
「26年ぶりということですけれども、ここにいる選手達、舞洲にいる選手達(ファーム)全員で勝ち取った優勝だと思いますし、皆さんの応援があったからこそ、こういう所にたどり着いたんだと思います。本当にありがとうございました」
 来季オリックスは阪急時代の1975年から1977年まで日本シリーズ3連覇を果たした偉大なる記録へ46年ぶりに挑むことになる。
 (文責・RONSPO編集部)

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