森保監督はポストプレーのできるFW大迫勇也をW杯メンバーから外した(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
森保監督はポストプレーのできるFW大迫勇也をW杯メンバーから外した(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

森保Jは大迫、原口抜きでW杯のグループEを勝ち抜けるのか?

 日本サッカー協会は1日に都内のホテルで記者会見を開き、20日に開幕するカタールワールドカップに臨む日本代表メンバー26人を発表した。森保一監督(54)のもとで招集されてきた常連組が順当に名を連ねたなかで、前回ロシア大会経験者のFW大迫勇也(32、ヴィッセル神戸)とMF原口元気(31、ウニオン・ベルリン)が落選。頼れるベテランを欠いた陣容で、日本はドイツ、スペイン両代表と戦うグループEを勝ち抜けるのか。

 「総合的に考えて現時点でのベスト」

 

 最終的には今朝決めたという26人のリストを、ひな壇の中央に座った森保監督は一人ずつ、思いの丈を込めながら読み上げていった。
 名字と名前の間でひと呼吸入れる形で、まずはゴールキーパーの3人を川島永嗣(39、ストラスブール)から権田修一(33、清水エスパルス)、シュミット・ダニエル(30、シントトロイデン)と年齢の高い順に紹介していく。
 次はディフェンダーとなる場面で、ちょっとした異変が起こった。
「フィールドプレイヤーとして名前をお伝えします」
 おもむろに断りを入れた指揮官はポジションに関係なく、23人のフィールドプレイヤーを一緒くたにして、同じく年齢の高い順に読み上げていった。
 川島とともに4大会連続で選出されたDF長友佑都(36、FC東京)を皮切りに、キャプテンのDF吉田麻也(34、シャルケ04)、DF酒井宏樹(32、浦和レッズ)と続いた直後だった。
 森保監督が明かしたのは、選出されていれば酒井に続く大迫と原口ではなくDF谷口彰悟(31、川崎フロンターレ)だった。最年少のMF久保建英(21、レアル・ソシエダ)まで、26人の代表メンバーを公表した指揮官は、質疑応答の第一声で心境をこう明かした。
「いまでも難しい選択だったと思う。ベストの選択をしたと自信を持っているが、このメンバーに入ってもおかしくない、力のある選手はまだまだいる。そう思うと複雑な心境になるが、すべての選手たちの思いを背負って、カタールワールドカップを全力で戦いたい」
 指揮官が敬意を示した、選外となった選手の象徴が大迫と原口になる。
 ともにベスト16に進出した前回大会の主力であり、2018年9月に船出した森保ジャパンの常連でもある。特にコンディション不良で3月シリーズから選外が続いていた大迫は、直近のリーグ戦である10月29日の川崎戦を森保監督自らが視察。先発フル出場を果たした大迫の復調ぶりを目の当たりにした試合後には、安どの笑顔を浮かべていた。
 それだけに、大迫の落選は驚きを持って受け止められた。記者会見では大迫を選外とした理由も問われたが、森保監督はほぼ同じニュアンスの説明を繰り返した。
「これまでの代表活動と選手がいま置かれている状況、そしてワールドカップでの戦いを見すえたときに、総合的に考えて現時点でのベストということで選考した」
 大迫や原口の現状には具体的に言及していない。それでもメンバー選考を議題とした10月31日のスタッフ会議で、特に大迫を招集するか否かは「かなり議論になった」と森保監督は明かす。最終的に決定を一任された指揮官が、発表の朝に大迫を選外としたのはなぜなのか。
 答えは「ワールドカップでの戦いを見すえたとき」という言葉に凝縮されている。

 

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