“未来のW杯戦士”の登竜門であるカタールW杯トレーニングパートナーに選ばれた若手10人が面白い…FC東京ルーキー松木玖生やバイエルン入りの福井太智ら
ロシア大会後の4年半の間に成長を遂げ、多くが海外へ新天地を求めた成功体験をカタール大会でも引き継ぐ。U-19代表を率いる冨樫剛一監督(51)の推薦による人選だと断りを入れた上で、反町技術委員長は今回のトレーニングパートナーへも大きな期待を寄せた。
「彼らはこれからの日本代表を背負っていく第一候補と言える。ワールドカップを生で経験してもらいながら、現在の日本代表チームの力添えになれるメンバーだと期待しています」
今シーズンのJ1リーグで30試合に出場して2ゴールをマーク。反町委員長をして「フルスロットルでプレーしている高卒のルーキーは彼ぐらい」と言わしめるトレーニングパートナーの一人、松木(青森山田卒)はクラブを通じてこんなコメントを残した。
「東京の代表として、ワールドカップメンバーの良いサポートをしながら、多くのものを吸収し4年後のワールドカップに出場できるよう頑張ります」
松木だけではない。昨春に高校生ながら東京五輪代表候補に選出されたDF中野や、今シーズンのYBCルヴァンカップのグループリーグで3ゴールをあげた高校生プロ、FW北野もカタールの地へ向かう。
Jクラブのアカデミーからは、身長193cm体重86kgのサイズを誇るDF高井も選出された。これまで招集されたU-19代表での経験が刺激になり、オファーを受けたブンデスリーガの強豪バイエルン・ミュンヘンへ、Jリーグを飛び越えて来年1月から加入する決意を下した福井も、クラブを通じてこんなコメントを発表した。
「チームの為に自分の最大限のプレーをし、個人としても成長して帰ってこられるように頑張ります」
話を4年前に戻せば、ロシア大会で得た財産を問われた西野氏は「各国ともA代表が一朝一夕に、爆発的に成長することはない」と断言。その上で「アンダーカテゴリーの選手たちが、A代表に取って代わる状況もあると感じている」と訴えた。ベテランや中堅を下から突き上げるホープが続々と現れ、世代交代がさらに加速されるほどA代表が活性化されるという図式だ。
カタールワールドカップに臨む26人の発表から一夜明けても、一部の常連選手の選出や落選に疑問や批判が噴出している。しかし、26人のうち初めてワールドカップに挑むのが19人。そのうち11人が、1997年1月1日以降に生まれた東京五輪世代だった事実も残る。
A代表を強化していく上で欠かせない世代交代に、さらに拍車がかかる活況が生まれるかどうか。旗手となる10人のトレーニングパートナーを中心とするパリ五輪世代が、カタール大会を触媒にしてどのような化学変化を遂げていくのかも、今後の楽しみのひとつに加わってくる。
(文責・藤江直人/スポーツライター)