ショック!DF中山雄太のアキレス腱手術によるW杯欠場決定は森保ジャパンにどんな影響を与えるのか…代役候補は誰?
ボランチでもプレーできる中山は、もっとも不慣れなポジションとなる左サイドバックと、常にポジティブな姿勢で向き合ってきた。昨夏の東京五輪前にはこんな言葉を残している。
「これまでそれほどプレーしていないポジションですし、ボランチへのこだわりも強く持っていますけど、世界的に見てもサイドバックとボランチを両立できる選手は増えてきている。サッカーの流行じゃないですけど、サッカーの進化に対して挑戦できる部分で楽しさを感じています」
実際に東京五輪では、3位決定戦を含めた全6試合に左サイドバックとして出場。戦う舞台をA代表へ変えてからは長友との交代を繰り返しながら、長友にはないプレースタイルを作り上げてきた。カタール大会のグループリーグは中3日の過密日程で行われるため、27日のコスタリカ代表との第2戦では中山を先発させるプランも考えられていたはずだ。
しかし、緊急事態が起こった以上は、新たな戦い方を準備しなければいけない。
今大会では代表選手に怪我や病気があった場合、各国ともグループリーグ初戦の24時間前まで入れ替えができる。日本対ドイツのキックオフは日本時間23日22時なので、同22日22時がデッドラインとなる。ただ、ハダースフィールド側が公式に発表した以上、JFAおよび森保監督としても中山の早期復帰を祈りながら、早急に代替選手を決めなければいけない。
森保ジャパンで左サイドバックとしてプレーした選手は少ない。長友と中山、今年6月の初招集後に一気に台頭し、カタール大会代表にも名を連ねた伊藤洋輝(23、シュツットガルト)以外では佐々木翔(33、サンフレッチェ広島)しかいないのが現状だ。
ただ、広島における佐々木の主戦場は3バックの左センターバックで、4バックでの左サイドバックは不得手としている。センターバックの冨安健洋(23)が所属するアーセナルで左サイドバックでもプレーしている状況も踏まえれば、佐々木よりも左右のサイドバックでプレーできる菅原由勢(22、AZ)を追加招集した方がベターなのではないか。
身長186cm体重78kgのサイズを持つ伊藤はセンターバック要員でもあると考えれば、試合中に3バックへ移行する形を可能にするためにも、むしろセンターバックを厚くした方がいい。
その場合は出場機会こそ得られなかったものの、9月のドイツ遠征に招集された瀬古歩夢(22、グラスホッパー)や、前回大会代表の植田直通(28、ニーム・オリンピック)が浮上してくる。
複数のポジションでプレーできる、ユーティリティーさを持った選手を加える手もある。落選が国内外で波紋を広げた原口元気(31、ウニオン・ベルリン)は中盤や3バックにした場合のウイングバックで、セルティックで高い評価を得ている旗手怜央(24)は中盤のさまざまなポジションだけでなく、川崎フロンターレ時代には左サイドバックを務めた経験も持っている。
5日にJ1リーグ最終節の9試合が行われるが、国内組の選手たちに先駆けて7日にカタールへ出発する、森保監督をはじめとするコーチングスタッフは視察しない予定だ。本番へ向けて最終的な準備に追われているなかで、緊急を要する重大な判断を突きつけられてしまった。
(文責・藤江直人/スポーツライター)