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東日本新人王のSライト級4回戦でスコーピオン金太郎(左)の“毒針ストレート”が石井龍虎(右)の顔面を捉えた(写真・山口裕朗)
東日本新人王のSライト級4回戦でスコーピオン金太郎(左)の“毒針ストレート”が石井龍虎(右)の顔面を捉えた(写真・山口裕朗)

え?!ボクシングで“毒針殺法”?!東日本新人王決定戦で逆転KO勝利のスコーピオン金太郎がMVPを獲得

 逆転KO勝利を生み出した源泉は何なのか?
 試合後にスコーピオンにそう質問すると「去年の負けが大きかった」と言った。
 新人王は2度目の挑戦だった。
 昨年はライト級で新人王に挑んだが、準々決勝で柳堀隆吾(花形)に判定負けを喫した。柳堀は全日本新人王まで上り詰めることになるが、そのプロ初黒星が転機となった。
「スタイルも考え方もすべて180度変えなければ勝てないと思った」
 三谷会長は、「練習せずに頭を使いなさい」と「考えるボクシング」を教えた。合宿で、毎日、練習ノートをつけさせ、三谷会長が「たとえばカウンターの時はどこに気をつけるか?」などの課題を与えて、その答え合わせを採点するという作業を続けた。
「毎回100点になった」
 その「考えるボクシング」の成長が、“喧嘩ファイト”だったスコーピオンにフットワークを使ったクレバーなボクシングを覚えさせた。
 この日、ダウンを奪われても、「足を使ってジャブを突き、残りの3ラウンドのポイントを取ればいい」という戦術を貫き通すことにつながり、結果的に、1652人のファンで埋まった聖地を沸かせる逆転ドラマを演出することになったのである。
 プロとしてふさわしい試合内容で大会MVPに選出された。
 続くウェルター級では、輪島功一氏の孫として注目を浴びていた磯谷が、宮崎の“強豪”日章学園時代に国体王者だった松野に大の字にのされるという衝撃的な試合があり、記者投票によって決まるMVPの行方は、どちらになるかわからなくなっていた。
「もらえるとは思っていなかったけれど、周りがMVPと認めてくれるならいただこうかな」
 だが、ここはあくまでも通過点。来月17日に行われる全日本新人王が勝負のリングだ。野口海音(ハラダ)と藤崎紘成(和光)が6日に争う西日本新人王決勝戦の勝者と対戦することになるが、野口は関西でも評判の強打者。どちらが勝ち上がってきても再びKO決着必至の激戦になりそうだ。。
「視野に入れている選手もいる。一から作り直して練習に励みたい」
 昭和の時代には、元WBC世界ライト級王者のガッツ石松氏や元WBC世界スーパーバンタム級王者のロイヤル小林氏などリングネームをつけた世界王者が人気を博した。近年では現在全日本ボクシング協会会長で元WBA世界スーパーフライ級王者のセレス小林氏が最後だろう。世界への登竜門と言われる全日本新人王をインパクトのある勝ち方で奪い取れば、スコーピオン金太郎の名がボクシングファンの注目を集めることになるかもしれない。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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