横浜F・マリノスのDF岩田智輝がMVPを初受賞(写真:千葉 格/アフロ)
JリーグMVP史上最大の苦労人がサプライズ受賞…横浜F・マリノスDF岩田智輝…プロキャリアはJ3から
岩田が成就させたシンデレラストーリーは、下部のカテゴリーでプレーするJリーガーや、将来のプロを夢見る子どもたちを勇気づける至高のメッセージになる。胸中を問われた岩田は「偉そうなことは言えないんですけど……」と再びはにかみながら、サッカー界全体へエールを送った。
「努力し続ければ必ず夢はかなう。どのようにすれば将来の自分が幸せになれるのかを日々考え、常に成長を考えながらやっていけば、夢はかなうと思うので頑張ってほしいです」
もちろん、岩田自身の挑戦も、目指すべきステージをさらに高く掲げた上で来シーズン以降も継続される。MVP受賞スピーチではこんな言葉も紡いでいる。
「この賞をより価値あるものにするために、日々精進していきたいと思います」
たとえば日の丸を背負った戦い。東京五輪世代の岩田だが、大分時代の2019年12月にU-22代表に招集されたのを最後にサバイバルに加われないまま、昨夏の本大会を外から見届けた。
A代表では4試合に出場している。しかし、2019年6月の2試合は東京五輪世代を中心に編成されたコパ・アメリカで、昨年7月の2試合は国内組だけの陣容で臨んだEAFF E-1サッカー選手権で記録された。ヨーロッパ組が招集された、本当の意味でのA代表はまだ経験していない。
何よりもマリノスの守備を支える主軸として、マリノスだけが権利を持つリーグ戦連覇に挑む。スピーチで最愛の夫人へ感謝の思いを捧げたなかで、岩田は「まだまだ夢の途中ですし、目標があります」とサッカー三昧の日々が続くと断りを入れた。マリノスでフル稼働させてきた体を例年よりも長目のオフでケアしながら、さらなる飛躍を目指す来シーズンへ英気をやしなっていく。
(文責・藤江直人/スポーツライター)