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原巨人の今オフのFA戦略は全滅?!(資料写真・黒田史夫)
原巨人の今オフのFA戦略は全滅?!(資料写真・黒田史夫)

なぜ巨人は“FA不人気球団”に成り下がったのか…条件闘争の時代から働きやすい環境重視の時代へ

 プロ野球のFA交渉が解禁され、FA宣言を行使した日ハムの近藤健介外野手(29)、西武の森友哉捕手(27)、横浜DeNAの嶺井博希捕手(31)、オリックスの伏見寅威捕手(32)の獲得の動きが水面下でスタートした。だが、先陣を斬ってアタックを仕掛けたのはソフトバンクやオリックスで、過去に12球団最多となる28人ものFA選手を獲得してきた巨人の声は聞こえてこない。ストーブリーグも含めて巨人が球界の盟主として君臨する時代は終焉を告げたのか?

 近藤にはソフト、オリ、西武、ロッテ…森にはオリが攻勢

 

 もはや巨人は「オワコン」なのか。
 1993年のFA第1号となった落合博満氏(当時中日)の獲得から始まり、2020年の梶谷隆幸、井納翔一の横浜DeNAからのダブル獲得まで、過去に12球団最多の28人ものFA選手を獲得してきた巨人。しかし、近藤、森の大物2人の宣言で、久しぶりに活況を得た今オフのFA戦線では“沈黙”を守っている。
 近藤にはソフトバンク、オリックス、ロッテ、西武の4球団が名乗りをあげ、森に関しては、オリックスが巨大契約のオファーを画策、一部の報道によれば、嶺井には、さっそくソフトバンクがアタックをかけたとされるが、巨人からのラブコールの声が聞こえてこないのだ。
 調査段階で“負け戦”を想定して撤退したのか、それとも、選手側の“敬遠”の意向が、巨人側になんらかの形で伝わったのか。
 巨人は今季5年ぶりの4位に終わりクライマックスシリーズ進出を逃した。来季の浮上に向けては、投打共に戦力補強が必須となるが、元ソフトバンク松田宣浩、元広島の長野久義のベテランコンビは獲得したが、劇的に何かを変えるような補強ではない。
 ドラフトでは原監督が阪神の岡田監督との一騎打ちで高松商高の浅野翔吾外野手を1位で引きあてたが、即戦力としては考え辛い。また2位で慶応大の萩尾匡也外野手、3位で国学院大の田中千晴投手、4位で創価大の門脇誠内野手などを抑えたが、新人は未知数。ウィーラーとの契約を解除したので、残るは大物の外国人獲得に期待を寄せるしかない。FA戦略全滅濃厚の状況は巨人にとっても苦しいだろう。
 エンゼルスの大谷翔平の活躍で、メジャーリーグへの関心がさらに増し、NPBの各球団に多様な価値観が生まれてきたため、昔のように巨人一極集中型のブランド力は、とうに薄れてきたが、豊富な資金力は健在だ。他球団に負けない条件を提示できるはずだが、なぜ巨人の今オフのFA戦略は全滅濃厚となったのか。
 巨人でのコーチ経験があり、現在新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏は、「巨人の体質と共にFA選手の考え方に変化が表れているのでは?」という見方をしている。
「理由は2つ考えられると思う。ひとつは、もう昔のように巨人は、パ・リーグの選手らの憧れのブランドではなくなっていることと、巨人の球団体質にあると思う。今オフにはFA移籍してきた井納がたった2年で戦力外となった。FA選手が結果を出せなかったときの冷たい扱いは選手にすれば不安に映るのだろう。中には、引退後もコーチとしてチームに残留できている選手もいるが、全員が全員、厚遇されているわけではない。言い方は悪いが“巨人に行けば使い捨てにされるのでは?”という不安要素を消し去れないのだろう」

 

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